城山自然の家だより   城山自然の家/2013−1号
  神奈川県相模原市緑区小松川のほとり
  平成25(2013)年3月号
      
2013年3月2日、春を真近かにした旧城山町向原地区に延びる相模野台地の段丘面を歩きました。
 この道は、いろいろな説もありますが昔から「鎌倉道」と呼んだり「獅子の道」とも呼んでいます。段丘面にはコナラ・アカシデ・アラカシ・クヌギやミズキなどが多く、今では少なくなった雑木林を形成しています。伐採後の株からは直径30pにもなる「ヒコバエ」が二・三本まとまって生えていました。その下層にはアオキ・ウツギやササなどが生え古道の日だまりにはシュンランやヤブランなどが目立ちました。一見荒れ果てているようにも思えましたが観察を続けているとキツツキの仲間のコゲラが、木を這うようにしながら木を叩いるではありませんか。楽しい光景が続きました。
 
                             撮影 2013・3・2
   
 旧城山町向原地区に広がる畑地灌漑跡   西洋ミツバチの見学
 また、段丘面の下の直ぐ脇には台地を畑地灌漑にと、コンクリートの水路の跡が原宿用水の結合部まで続いていました。今はその機能を失ってしまいましたが戦後の食糧難の時代を救済した灌漑施設として語り継いで行けたらと思っています。
 雑木林の管理は生活様式の変化や高齢化によって難しい時代になっています。この斜面緑地は、保存樹林として旧城山町の第一号地として指定されていましたが今はその看板も荒れ果ててしまいました。
 先人たちの残した里山は人の手が入ってはじめて成立しています。そうした空間を残すと云うことは良いことだとは思いますが並大抵ではありません。
 雑木林が生み出す落ち葉や枝は、昔からたい肥や燃料として使われてきましたが、生活様式の変化や破裂しそうな異常気象条件の中では大変です。そのため里山としての機能は失われつつあるようです。
 そうした中、未来を背負う子供たちに身近な里山の自然を伝えようと、川尻小学校の三年生と五年生の生き物班の皆さんと一緒に学校の裏側に広がる里山を歩きながら「城山自然の家」に行きました。当日はいつもと違ったコースを歩いたので子供たちはわくわく、持ち前の好奇心を思う存分発輝させながらの楽しい散策でした。冬中、枯葉を落とさない「ヤマコウバシ」と云う木の不思議、タチスボスミレの可愛いらしい花などを見ながら山を越えると、学校田のあるホタルも 住んでいる小松の里に出ます。

                             撮影2013・2・25
  
  楽しい小松の山越え           「城山自然の家」でのホタルのお話会 
 坂を下った「城山自然の家」の中では紙芝居を見ながらホタルの孵化の様子や今幼虫がどんな暮らしをしているかをお話しました。
 三年生にはホタルの住める環境や生態を中心に、また五年生にはアジサイ・コナラ・ビワ・ホオノキや揮発性の香りを放つアブラチャンなどの冬芽を観察しながら乾燥や寒さに植物がどのように耐え適応しているかを感じとってもらいました。
 毎回思うのですが、いつも発見があり、「これだ」と云うことがありません。いろいろと教えられることが多く、今度何を話そうかと秘密の勉強もしています。そうした身近な自然の中から、人と人とのつながり、そして自然との出会いを感じながら人生を楽しんでもらえればと思いました。

 木に鳥がいて太陽の光がさしている。楽しい。
 そうした「楽しい」環境を守るといことは、とても大変なことかも知れません。「ヒコバエ」がちゃんと育ち、ホタルやコゲラたちが安心して暮らして行ける社会は人間たちにとっても、きっと楽しく素晴らしいことだと思います。
         「相模原の自然と文化」「相模原市文化財研究協議会」発行の」原稿を一部修正して掲示しました。
        
 
  田んぼで見たヤマアカガエルの卵
2013・3・14/自然の家の周りには学校田やおやじの田んぼがあります。田んぼはほとんどが乾燥していますが、川沿いとか土手のようになったところからは水が浸みだして池になっています。その小さな池にはヘイケボタルの幼虫が暮らしています。
 池の周りには大きなホオノキの葉っぱがたくさん落ちていました。水草はまだ生えていませんがよく見るとオタマジャクシの卵がありました。卵の中にはまだ外には出ないでいる小さなオタマジャクシが沢山いました。
 もう少しすると卵から外に出て池中を泳ぎはじめることでしょう。
 小松の小さな谷戸田には、雨水(2月19日頃)の頃
にヤマアカガエルが山から下りて来て卵を産みます。産卵が終わるとまた山に戻り冬眠をします。冬眠をしているのにどうして、雨水の日の頃を知っていたのでしょう。ムラサキケマンの葉を食草にしているウスバシロチョウも孵化を始めます。なで雨水の日なのか不思議ですね。
        
 「城山自然の家」の展示を少しリユーアルしました。        撮影2013・3・16
  

 天気が良かったので、田んぼや小松川を歩きました。ムラサキケマンは未だ花がありませんが、今年こそ、種がパーンと弾けるまで観察しようと思っています。カシワも何時ごろ葉を落とすか気にしています。
                               撮影2013・3・17

(ナデシコ科) ハコベ

(シソ科) ヒメオドリコソウ

(シソ科) ホトケノザ

(キク科) ノボロギク

(ヨモギ属)ヨモギ

(キク科) タビラコ

(シソ科) キランソウ

(ケシ科 ケマン属) ヤマエンゴグサ

(キク科) ハハコグサ

(アブラナ科) クレソン

(キンポウゲ科) イチリンソウ

(アカネ科) ヤエムグラ

(ケマンソウ科)ムラサキケマン


(ユリ科) ノカンゾウ

(ヒガンバナ科) ノビル

(アブラナ科) タネツケバナ

(ゴマノハグサ科) オオイヌノフグリ

(アブラナ科) ナズナ

(ウラボシ科) ヒメノキシノブ 
  ソメイヨシノの木に生えていました。

(ブナ科コナラ属) カシワ


(モクレン科) コブシ


(モクレン科) モクレン

(シソ科) ローズマリー

(クスノキ科)アブラチャン

(ギブシ科) ギブシ



           (仮)城山自然の家だより
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