さくらの里へようこそ
 昭和22年4月、第1回全国植樹祭が、天皇皇后陛下御臨席のもと山梨県甲府市、御岳昇仙峡入り口にある片山で行われました。
 現在、その場所はヒノキをはじめ、アカマツやクヌギなどで覆われています。小学生の頃、遠足でそこを通り抜け千代田湖に遊んだことを思い出します。また秋の農作業が終わる頃から、お父さんたちは、冬の仕事として雑木採りに行きました。北風が吹く中、荒川の土手の坂道を押しに行ったもの子供の頃のよき思い出です。片山は思い出の場所でした。さて
 その年の8月、小説家加藤武雄は明智光秀をテーマに歴史小説「叛逆」を出版しました。小説の終わりに、加藤武雄は「後語」として荒廃した台地に木を植える話を書いて終わります。戦後の復興は経済力ばかりではなく、台地の復興、甦れ自然、そうした人々の努力も繰り返し行われてきました。
 平成18年4月7日、私はアメリカから里帰りした32本の「咢堂桜」を追って津久井路を走りました。津久井は今、桜が満開です。青野原の諏訪神社の境内には千本の桜を植えたと言う「安五郎櫻記念碑」もありました。
                                 撮影2007・3・30
     
                  津久井町中野  観音寺 枝垂れ桜
       
                                 撮影2010・4・3
      
                      津久井町根小屋   雲居寺 枝垂れ桜

                                        撮影2006.4.7  
  
    小倉橋周辺


 昭和33年5月10日号 「城山町広報」より
          撮影2007・4・8

     藤野町 菅井農業小学校の畑から
 今西祐行先生にお会いすることができた。こんな企画もした。あるところから石臼をお借れして「城山自然の家」で粉を挽いたことがあった。懐かしむように、みんなで粉を挽いた。挽きすぎて臼の「とって」が壊れてしまったこともあった。私はその壊れた石臼を持ってお返しに上がった。「消耗品だから」と云って戴いた。その臼は今西先生の物だという。
 先生は子供たちとあの長椅子に座りながら、どんな話をされただろう。あの桜の木はたぶん知っている。

            2007・4・12付記


昭和50年6月「広報しろやま」より

緑と水と我が郷土をスローガンに県植樹祭、城山湖畔で行われる。
 神奈川県と県緑化推進委員会主催、城山町協賛の第26回神奈川県植樹祭が、去る5月14日新緑に包まれた城山湖畔の川尻財産区有林で、曽山副知事を始め県下の森林組合関係者約400人が出席し、記念式典および記念植樹が行われました。



  
  津久井湖周辺

  
  津久井町中野              根小屋 富士塚           尾崎咢堂記念館周辺

     津津久井町地蔵原                             津久井町青根

 
津久井町東野               安五郎櫻記念碑  諏訪神社境内
安五郎櫻記念碑  (碑文)
 昭和六年当地出身の故高城安五郎氏は、吉野櫻の苗木壱千本を寄贈され、地域住民の協力により青野原、長野、西野々及び焼山に植樹された。
 当時の不況下にあってこの美挙は、開花と共に誰言うともなく「安五郎櫻」と呼ばれるようになった。然し戦時戦後薪炭等に伐採されたが、今なお百本程は当時を偲ぶ半世紀の古木として残っている。植樹五十周年に当り氏の遺徳を称えこの記念碑を建立する。
 昭和五十六年四月二十一日 野戸主会

                             撮影2007.4・8
 
藤野町伏馬田(ふすまだ) 感謝の碑   伏馬田の桜並木
感謝の碑   (碑文)
 この町道伏馬田菅井線は未改良のため古来より距離が長く悪路であった。戦後、経済事情最悪の折にもかかわらず改良工事に着手した。当時部落内には多くの構築物があり、それ等の対策には困難を極めたが、藤野町長山下茂市の特別の努力によって完成を見た。又、沿道の桜並木は延々と休み峠まで続いているが苗木は上村の小俣馨さんが寄贈したもので、維持管理は地域の住民が当っている。ここに山下氏及び小俣さんの誠意ある労に対し感謝の意を表します。
 尚、施工にあたって経費補助は七十五%が計上されている。
相模原の桜
  
第1回市民桜まつり               「愛樹之碑」 裏面 昭和二九年春 相模原警察署前交差点 
「広報さがみはら」 昭和49年4月号より                       神奈川県知事 内山岩太郎

       今年も咲いた。桜が咲いた・相模原       撮影2007・2・25
        
      相模原市西橋本 橋本公園内の河津桜

         資料 桜の苗木を愛しましょう 
             今回町内のある篤志家から、桜の苗木一万本(内五千本は来年)の寄付がありました。
             町では早速緑地計画をたて、街路、遊園地、小学校、役場等に植付けをいたしました。
             将来町内到るところで美しく咲き競い、我々の目を楽しませてくれることでしょう。
             皆さん、お互いに協力して桜の苗木を大切に育てましょう。
                                   広報相模原 昭和29年4月10日号より

 鳥屋小学校


木に想う
 小松の中島家の庭は見事だ。今頃はアセビの花で埋め尽くされる。でも今年は主のいない淋しい年になってしまった。4月7日、私は津久井町の小中学校を訪ねた。ワシントンから里帰りした苗木が今どんな風に成長しているか32本の行方を確かめたかった。
 津久井は桜の花が真っ盛り。山や道沿い、農家の庭先やちょっとした峠など、いたるところに桜の花が咲いている。
 なかでも、津久井の一番奥にある鳥屋小学校の桜が良かった。そう大きくない桜であったが学校を取り囲むように咲いていた。どこかで見たような、懐かしい風景だった。
 桜は何にも云わないが、母のような温かさの中で私たちを迎えてくれる。どうも、桜にはそんなような不思議な力がやどっているようだ。
                  2006・4・10記
 
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