沙羅の章  tizukosan1..thml

1 . 鯉曼荼羅あやめの影を散らしけり
2 . 心経の無の字数うる梅雨ごもり
3 . 七夕の地のくらがりを猫走る
4 . 太古より噴くや湯の花秋の雲.
5 . 走馬灯無為の身体のおきどころ.
6 . 川風に踊り疲れの髪乱す
7 . パラソルに涯なき海を隠しけり
8 . 冬木立苦汁を負いし木食仏
9 . 沙羅散るや風に磨かる青い石
10 . 寒椿無韻の闇の底明かり
「無明の闇」/の人間が本来持っている根本的な無知や煩悩により、真実が見えず、迷いや苦しみに満ちた心を指す言葉。
11 . 雪野原白狐になりし犬に遭う.
12 . 白息や胸乳(むなじ)押さえて馳け降りる
13 . 浜おもと沖を過ぎゆく白い船
14 . うたた寝の浄土たゆとう蚊火けむり
    AI による概要/たゆとう(揺蕩う、たゆたふとも)」は、水面に浮くものや煙などが、定まらずにゆらゆらとただよう様子や、心が迷って決まらない状態を表す日本語の古風な表現です。
15 . 風過ぎて知る木犀(もくせい)のありどころ
16 . 亀墓や羽蟻かそけく舞い降つる
AI による概要/「かそけく」は、古語の形容詞「かそけし(幽し)」の連用形(ク活用)です。光や色、音などがかすかで、今にも消えそうなさまを表します。現代の言葉では「かすかに」「ほのかに」という意味にあたります。
17 . 野遊びの水音は母の唱名
18 . 病良し砂浴びている雀の子
19 . 歌わねば消ゆるいのちや残る虫
20 . 枯山に男は黙って指鳴らす
21 . 吾子ときにきびしき他人実朝忌
22 . 暖房車肩叩かせている先生
23 . 静電気恍とひとりの春の闇.
24 . 春の霜溶かして知らぬ影ひとつ
25 . 春愁や黒い墓石に影映す
26 . 松蝉へまなこ凝らせば風ばかり
27 . 吊橋やかばんを握る汗どっと
28 . 緑陰に老い瞑想か居眠りか
29 . 少年に諸肌(もろはだ)の母髪洗う
30 . 木の瘤の月明に泛(う)き宴果つ
AI による概要/泛(う)き」は、水面に浮かぶもの、特に釣り糸につけて魚のアタリ(魚信)を見る目印(浮子・ウキ)や、漁網を浮かべるための浮き具を指す漢字表記です。一般には「浮き」と書かれますが、漢字の「泛」には「うかぶ」「ただよう」という意味があります。
31 . 新涼や濡れてすり寄る犬の鼻
32 . コスモスのさゆれ少女に恋はじまる
33 . 花吹雪浴びて淋しい男の背
34 . 断崖へ愛の終わりの夏帽子
35 . 一重帯ゆったり緊むる乳房かな
AI による概要/「緊むる(きもる / さがむる、または、しむる)」は、漢字の「緊」に由来し、「固く引き締める」「きつく締める」「気を引き締める」という意味を持つ古風・文語的な表現です。
36 . 銀漢や男の涙背に見たり
37 . 杜鵑草(ほととぎす)そのそばかすのえも云へず
38 . 夢捨てに来しくらがりの枯木星(かれきぼし)
39 . 鴉(からす)湧く枯山朝の体温計.
40 . 鯉に指噛ませてさびしい鳥渡る
41 . 水の香のふくいくとして山初め
42 . 葉隠れの雀翔(た)つなり如月忌
AI による概要/如月忌(きさらぎき)は、大正時代に活躍した歌人で仏教婦人会の礎を築いた九條武子の命日である2月7日に行われる、浄土真宗本願寺派などの法要です。
彼女の社会事業や女子教育への尽力を偲び、毎年各地の別院や寺院で営まれます。
43 . 山繭の殻吹かれゐる昼の夢
44 . 嫁がせて一夜明けたり藤の花.  
きぬぎぬの紅溶かしゆく湖の霧  No51
45 . 剣山へ挿す花菖蒲ごめんなさい
46 . 屈強の僧が刻みし胡瓜揉み
47 . 金魚死す冥(めつむ)ることも許されず
48 . レター裂き飛ばす船尾の夏帽子
49 . 赤手蟹太古の月に鋏(はさみ)立て
50 . 秋夕焼蟹まんだらに踏みまどう
51 . きぬぎぬの紅溶かしゆく湖の霧
AI による概要/きぬぎぬ(衣衣・後朝)」とは、夜を共にした男女が翌朝にそれぞれの着物を着て別れること、またその朝の別れを意味する言葉です。古代、重ねて掛けた衣をそれぞれ身につけて別れた様子に由来します。.

玉崎千鶴子さんの句集より 海鳴り・沙羅の章 tizukosan1.html
玉崎千鶴子さんの句集より 海鳴り・曼珠沙華の章
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玉崎千鶴子さんの句集より 海鳴り・冬薔薇の章  tizukosan.html
玉崎千鶴子さんの句集より 海鳴り・海鳴りの章  tizukosan3.html
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