曼珠沙華の章  tizukosan2.thml

1 . .蓑虫のみのの衰え母を恋う
2 . 明王の憤怒に淡き曼珠沙
3 . 波が磨(と)ぐ石みなまろき冬渚
4 . そこはかと無き陶酔や梅真白
5 . やや気を抜きし七月の掃除当番
6 . 風を見ている満行の秋遍路.
は見ている満行の秋遍路
7 . かな女忌や水底青き猫の眼よ
長谷川かな女の忌日は毎年9月22日で、彼女の句集名に由来して「竜胆忌」とも呼ばれます。彼女は大正から昭和にかけて活躍した女流俳人
8 . .晩夏かな水より淡き母の影
9 . シャボン玉五彩浄土の忽(たちま)ちに
10 . 狐来よ蛍袋の青ちょうちん.
11 . 白菊に香る端座の少年喪主
12 . 玲朧とおんな玉虫つまみけり
※玲瓏 (レイロウ)/1 玉などが透き通るように美しいさま。 また、玉のように輝くさま。 2 玉などの触れ合って美しく鳴るさま。 また、 音声 の澄んで響くさま。
13 . 石枯れてしどろもどろの真実よ.
14 . 暮れ早し走るかぶらの鬚(す)の予感
15 . 熊の肉食う秋風の菩薩たち
16 . 山茶花の紅透きとおる余生かな
17 . 方円の天地ひろげし水すまし
18 . 泰山木雲を従え魯迅象.
19 . 白雨過ぐ子を寝かせている砂時計
20 . 休耕田無く縹渺の麦の秋.
縹渺 (ヒョウビョウ)/ ほんのりかすかであるさま。 遠くかすかではっきりしないさま。
21 . 枯野来る犬が尾を降る雨煙樹忌
22 . 鴨遊ぶ人いくたりを呑みし湖
23 . 鴉(からす)どどっと落ちて枯山無韻かな.
24 . 振り向けば冬木に凭(もた)れゐし別れ
25 . しんしんと絹の手ざわり雪月夜
帯を解くか 想像の世界としたできごこか
26 . すせらぎの声のさざめき坂二月
27 . 冬陽さす叱られしこと懐かしきj.
28 . 寒卵遥かなるもの呼び覚ます
29 . シーソーの恋を遠目に木爪(ぼけ)の花
30 . 春の猫抱いて(蹠あうら)へ化粧水
31 . まむし草放生池へ錢投げる
32 . 花あやめ己が胸噛む小鳥ゐて
33 . さくらんぼ傾斜横ぎるハイヒール
34 . ほんものの塩の嘆きを業平忌
35 . 花十字妻の傷痕消ゆるなし
36 . 風鈴の舌を引張る一茶の忌
37 . 鳥啼いて黄泉遠ざかる登山口.
38 . 草の花むかし小僧は口べらし
39 . .寡婦が飼うアイスクリーム好きな人  
反省
40 . 逆立ちの足見え海女のあり処知る.
41 . みどり亀見てゐし僧の跼(かが)みけり
42 . 漁り火の跼(かが)めば消ゆる海丸し
43 . とうきびをぐいともぐ子よ雲厚し
44 . けまん草夫を置いては死ねませぬ
45 . 鬼灯(ほおずき)の触む夜は逢いたくない
46 . オートバイ敬老の日は海を見た
47 . てのひらの我が男運すすき原.
48 . 月光に繋がっていし生命線.
49 . 曼珠沙華何が憑依の目鼻立ち
憑依(ひょうい)は、霊などが乗り移ること。憑(つ)くこと。憑霊、神降ろし、神懸り、神宿り、憑き物ともいう。
50 . 林檎半分づつよ素足の海見えて.
51 . 飽食の僧おそろしき蓼の花
52 . 犬に尾を振られシャンソンの時雨坂
53 . 彷彿と太古時雨の化石たち
54 . 晩秋のタンゴよ紙の町をひとり
55 . 鳥葬や落葉しずくを集めては
56 . バレンタインデー銀紙に指切られ
57 . 打楽器に神は近付く霜夜かな
58 . 陽におどるやわらかき嘘バレンタイン
59 . 寺へ入る寒満月を引きはなし
60 . 咳こめば眼鏡きらきら夕茜
61 . 霜夜かな雑木林にある華やぎ
62 .. 紅梅に尾を摺り寄せている狐
63 . ラリラリとごきぶりの闇鮮しき
64 . 父の被や豹が足裏を舐めている
65 . 鮎釣りの刻が消えゆく青世界
66 . ETを胎児とおもう星まつり
67 . 休耕田菖蒲田となり昼の酒
68 . 富士山を隠すヨットの帆むらさき
69 . 百日紅海見えてよき予感かな
70 . シャガールの狐雨過ぎ柿落葉
71 . 真っ先に秋の来ている海を見た
72 . 青柿の数増やしゆく眼の闇よ
73 . 河豚(ふぐ)の花びらは禁欲のしづけさ
74 . 佇ちつくす鷺もうろうと冬の川.   たちつくす
75 . 酔い覚めの柿と若狭はつくづく佳き
76 . しろがねの虚空八っ手の玉結ぶ
77 . 海鴉見る指先は汝がマフラー
78 . 家乾くピシリと春の焼や
79 . ウインドウーにしゃがむ暮春の脚ばかり
80 . 遍路髪洗わず月の真下なり
81 .. 落とし文うしろの見ゆる齢かな
82 . 鎮痛剤効く山吹のほろほろと
83 . 風車淡い眠りの中の母
84 . 朝かなかな不眠の胸の透明に
85 晩夏光池に首延べて沖見る犬................


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玉崎千鶴子さんの句集より 海鳴り・曼珠沙華の章
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