石仏修復への道 修復作業の時期 平成15年8月から10月 ![]() ![]() 修復前 修復後 秋葉灯篭、秋葉大権現石塔は破損した状態のまま市神社裏側に長い間放置されたままの状態でした。 原因は原宿自治会館の建設工事、道路拡幅工事や原宿堀公園の建設等が長期にわたり行われていた ためで、その間不要になった庭石等も一緒に放置されていました。 民俗文化財と云うべき石造物の修復の前に、放置されたままの石を敷地内、覆屋の西側屋根からの雨 水の落ちる軒の部分に敷きました。掘り出した土は、境内の北側に敷き、更に修復後金子工務店の協力 をえて砕石(頁岩)軽トラック1台分を敷き詰めました。 ![]() ![]() 秋葉灯篭の基礎部分は4つに割れていたため、修復するため水洗いを行ったあと、接着剤(エポキシ樹 脂系)を塗り接合しました。基礎部分がかなりの重量であったため、倒壊を未然に防止するため支柱やロ ープ等で補強を施しながら補修作業を行いました。 接着剤使用後は、乾燥を待って(約1週間)、接着部分を原型の状態に戻すため、トンネル内のひび割 れを補修する時に使用するプレミックス系セメントを、接合した部分に流し込んで補強を行いました。 ![]() ![]() 3つに割れた笠の部分 ![]() 秋葉灯篭の土台部分。尚、現在笠の置いてある部分の石組みは元「大山石尊像」の土台で、石尊像の 修復時に使用しなかったため今回の修復工事で「秋葉灯篭笠置台」として使用しました。 コンクリート製「火袋」は覆屋に安置しました。 修復後 約1年の状態 撮影 2004.8.1 ![]() ![]() 結合部分や新たなヒビ割れは見られませんが、剥離を防止するため神名が表記された「竿」の部分に セメントを流したところ、溶解した七沢石の色素が付着するのが分かるようになりました。コンクリートで 修復する前に洗浄しているので、酸性雨か、外気による藻類など何らかの影響が考えられます。 ![]() 拡大 修復の方法 @石造物の接着にはエポキシ樹脂系の接着剤を使用する。 コニシ・クイックメンザー 1kg 3980円 色グレー A剤:エポキシ樹脂 B剤:ポチオール三級アミン A石造物の剥がれた部分の修復 プレミックス系セメントを使用する。 グラウト無収縮モルタル 25kg 1900円 林セメント工業 ![]() ![]() 撮影2004.12.08 秋葉灯篭の宝珠部の表面が剥離していたため、緩めのプレミックス系セメントをひび割れ部分に注入 しました。注入時セメンがこぼれたため、やや乾燥した状態になった時、タワシで表面を慣らし余分な セメントを除去してから洗浄しました。 ![]() ![]() 市神社の鳥居 東側部分の土台 強い酸性雨の影響が見られる。 参考 石仏の修復事例 向原 山王神社境内 修復が待たれる笠地蔵念仏供養塔 ![]() ![]() 昭和30年代 移設前 撮影2004・8・8 ![]() 4つに崩落した笠、向拝部 ![]() ![]() ![]() ![]() 笠部分の洗浄後 撮影2004・10・11 ![]() ![]() ![]() ![]() 使用した接着剤 エポキシ樹脂系・化学反応形接着剤 品名 ボンド クイック30 コニシ株式会社製 A剤 エポキシ樹脂 (100%) B剤 ポリチオール (100%) 接着後の作業予定 充分な自然乾燥後、プレミックス系セメントを使用して細部の修復を行なう予定です。 修復の方法は、原宿市神社境内の秋葉灯篭方式を採用し現況に近づけます。 撮影2005.3.21 ![]() ![]() 笠部の修復は冬季のため時期的にかなり遅れました。破損の度合いが深く修復後も石材の内部で空 洞化があり、敲くと「カンカン」と軽い音の反響音がしました。浸透性のある補強剤もあるようですが今後 の研究課題として取り組みたいと思います。今後は修復時に付着したセメントの除去作業を行ないます。 撮影2005.3.27 ![]() 洗浄後の笠部 塔身部の現状 ![]() ![]() ![]() 塔身部の表面は風化が激しく、西側部分の地蔵像に剥離現象が見られます。数年前までは文字や彫刻 の輪郭がはっきりと見ることができましたが、道路の拡幅工事の移動や川尻バイパスの影響と思われる振 動や大気汚染等で風化が加速度的に進行しています。 中沢 馬頭観音石塔 中沢 下平と上平を結ぶ坂道を「久保坂」と呼んでいます。 上平には「松永屋」と云う造り酒屋がありました。中沢の水をトンネルを掘って流し 酒を造りました。 参考 ![]() ![]() ![]() 中沢 普門寺 宝匡印塔 戻る |