境川上流・風間のアラカシ島              

                                  撮影2010・12・28

川尻村絵図(部分)
  貞享元年(1684
 左の絵図は貞享元年(1684)4月に作成された絵図で中央部分の四角で囲まれ春日とあるのは旧春日社の敷地で、境内には鬱蒼とした樹林で覆われていたと云います。
 現在の春日社は明観寺の奥に鎮座されていまさす。この当時には既に原宿の町が形成されていて飲料水として境川から水を引いていました。原宿建設の交換条件として境川を越えた隣り村から春日社の鬱蒼とした杜の伐採の話が今に伝えられています。
 私はそうした伝承を基に今に残るかつての周辺部を歩いて見ました。県道からは
保存樹林に指定されている「武内家のアラカシ」は見えますが境川沿いに残る一部の照葉樹林帯は県道より低いために見ることが出来ません。境川の源流部は2年前の台風のツメ跡が今なお深く、所々に応急的な措置が施されているのが現状です。
 そうした照葉樹林に囲まれた境川に島がありました。その僅か15メートルの島の中に、「かつてはこうだったんだよ」と云わんばかりにタイムカプセルのような照葉樹林を残していました。


  
境川・広田地区の穀倉地帯。右は広田の田んぼに水を引くための取水地、手前の木株はキハダ。

  
風間地区の田んぼ、かっては川から直接水を引いていたが、現在ではポンプを水を引いている。境川の源流部はこの様に蛇行しながら流れていたが近年の河川改修工事で直線化されている。

  
かっての川跡沿いや屋敷の境界沿いにケヤキが生い茂っている。この樹林の奥にはスギやモミ、シロダモ、ツバキなどが確認できる。また左岸にはクワが2本あり、ここも養蚕地帯であったことを思わせる。この右岸沿いに大規模な武蔵岡団地が広がっている。

  
小規模な梅林を過ぎると突然右岸に照葉樹林が表れる。右岸の畑側にはアラカシ群、シロダモ、ミズキ、ケヤキなども確認できる。

  
アラカシ・ケヤキ・モミ                   シロダモ  

仮称 風間のアラカシ島
  
島の大きさは全長15.4メートル、巾4.2〜3メートル、高さは河床から1.7メートルの舟形をしています。島内にはアラカシ22本を筆頭にネズミモチ、ヒサカキ、モミ、シロ、カンノンチク、ヤブラン、シュンランなどが生い茂っています。
  
ヒコバエから成長したアラカシ        アラカシの中に見えるヒサカキ
  
境川下流部を見たところ 
   仮称 風間のアラカシ島周辺部の樹木分布




                              調査日 2010・12・28〜31
竹やぶの中の植物
  
シロダモ                       ネズミモチ

  
シャガ、頭上には大きなスズメバチの巣があった。 境川の石組、コンクリート護岸が多い中で非常に珍しく
                         貴重な文化遺産。

  
相模原市緑区旧城山町・風間地区のアラカシ  アラカシ 樹周 438p

  
                               穀倉

  
南方の県道より見た景観          左岸側、武蔵ヶ岡団地から見た樹林帯の景観 

  
残土に埋もれた風間の水田跡  

  
町田市上相原地区の水田を潤した取水口跡

 境川の上流部を下流から歩いて見ました。現在、 自然工法に近い方法で河川改修工事が進められています。ほんのちょっと歩いただけでも人々の生活を垣間見ることができました。カルガモやカワセミにも出会うことが出来ました。人々が安全に暮らす、その重みのひとつひとつをかみしめるように、私は突きつけられる思いで・・・・・歩きました。

景観観察の注意事項
 右岸側(下流方向を見ながら右側)は私有地になっております。景観観察を行う場合は左岸側からをお奨めいたします。
この場合、(仮称)アラカシ島へは降りられませんので、予め、ご了承お願いいたします。尚、左岸側は柵になっておりますが遊歩道のようになっておりますので、お気軽にお出かけ下さい。

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