拝啓 八木重吉さんへ

  素晴らしい「開館10周年記念 八木重吉 −さいわいの詩人(うたびと)−展」が終わりました。

                                          作成2016・10・28
                                           追加 2016・12・25・26
                                         

大戸の郵便局


大戸のラーメン屋さん


相原駅の中


踏切のそばのクリニーング屋さん


相原の郵便局


バス停前の和菓子屋さん


となりの宣伝用具の販売店


銀行の前の自動車屋さん


小学校の前のパン屋さん


中相原のうどん屋さん


大戸のお肉屋さん


竹を切る
こどものころは
ものを切るのがおもしろい
よくひかげにすわって
竹をきりこまざいてゐた
 


    T14・11 「近代詩歌」より










 私が重吉さんの「茶の花忌」にお詣りさせて戴いで、四十年以上になりましょうか、この日をいつも楽しみにしていました。
 墓前での讃美歌の合唱、みんなの後に続いて、かすかに歌っているのか、いないのかわけの分からぬ声を出して、重吉さんを偲んでおりました。
 今年は、急用があって「茶の花忌」には出られませんでしたが、大丈夫でしたか。
 前日には、学生さんが来て、お墓のお掃除、花入れにはダリアの花、子供たちにはベコニアの花、登美子さんのには可愛い花が生けてありましたね。
 私は、裏の竹藪から竹を切って花入れを作りましたが、この時に、竹の筒の中がこんなにも奇麗だとは思ってもいませんでした。真のだいだい色でした。いつだったか、竹を割ったお爺さんが中の赤ちゃんを見つけたことのおとぎ話、そのくらいの輝きではなかったかと、そんな風に思えました。翌日、青木さんの家に行きましたら、造形大学の先生がこられて、これから竹で染色をするための「竹取」を始められるとか。竹から白がさらに白くなる色をつくるのだそうです。あの真のだいだいから真の白ができるとか。良いことをお聞きしました。重吉さんの心のようですね。
 「茶の花忌」の前の日は、少し雨も降りましたが、やはり大戸の秋は良いものですね、食べられるか分かりませんでしたがキノコが沢山生えていました。裏の神社の参道もちゃんとしていました。参拝の人にも出会いました。花入れを十五個ぐらい作ってその日をおわりました。帰り際、ひろ子さんから当日に出される「煮〆」のお料理をひとあし先に頂いてかえりました。
 雨もどうやら上がって「明日は晴れそう、よかったな」と
 家に帰る途中、大戸のラーメン屋さんで「開館10周年記念 八木重吉 −さいわいの詩人(うたびと)−展」の大きなポスターを見つけました。目頭があつくなり、涙がこぼれそうになりました。本当に、本当にうれしくてうれしくてしょうがありませんでした。本当に良かったです。
 翌日、大きなポスターがどんなところに貼ってあるのかなと思いながら自転車で巡って見ましたら、そうしましたら、たくさん貼ってあるのに驚いてしまいました。まだまだ、お店の中にもあるのかも知れませんが兎に角ビックリしてしまいました。
 お店には、重吉さんのことが載った新聞の記事のコピーがあったとか、そんなうれしいお話もお聞きしました。
 啄木さんも宮沢賢治さんも生きているときは、なかなか世に出るのは難しかったと思いましたが、重吉さんも大変でしたね、でも今は違いますよね。
 とみさんが大切に柳ごおりに入れて守ってこられた詩集の数々、これを吉野秀雄さんもちゃんと引き継いで大事になされ、それから、故郷の大戸にかえってからも、藤雄さんや哲雄さんたちによって守られ、「八木重吉記念館」も作られたそうですね、その時、馬籠の「藤村記念館」まで見学に行かれたとか、内覧の会の日に初めてお伺いしました。
 重吉さんの詩は、これから先もずっと、みんなの心の中に生き続けて行かれることと思います。
 「町田市民文学館ことばらんど」において、重吉さんの本格的な第一級の展覧会が開かれています。
 八木家のご英断にあらためて感謝したい気持ちです。そして、下向きに、八木重吉展の開催を待ちわびた担当者に感謝いっぱいの気持ちでいます。
 どうか、重吉さんも、自分のおつくりになった詩をあらためて訪ねてみては如何でしょう。町田の風景も大分かわりましたが、秋の瞳のように輝いでいます。
 

    
         町田市民文学館ことばらんど

         詩人・八木重吉さんの故郷
         重吉さんの年譜
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