境川の水をポンプで汲み上げる
撮影 2010・12・29
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吹き降りとは、山から吹き下ろす風を云う。小松の谷戸の沖に「百拾わず」と云う地名がある。旅人は山から吹き下ろす風が余りにも寒かったため、目の前に落ちていた百文銭をどうしても拾うことが出来なかった。それより一刻も早く、ここを抜け出し家に帰りたかったのだ。
芭蕉「野ざらし紀行」の出発はこの様な日ではなかったか。旅立ちの期待と不安、その延長上に千鳥が底冷えの風に向かっている。寒風に向かうセグロカモメの子は親の口ばしの赤い斑点を打つ。そうすると親鳥はお腹から餌を出して子に与えると云う。
これは逆境から勝ち得たご褒美なのだ。新しい年が始まった。やがて咲く、すみれの花もあるだろう。旅に終わりはない。
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