潤水都市さがみはら、津久井の残土地帯を行く

作成2010・4・13
追加2011・4・30 緑区雨降地区を追加 
追加2011・5・10 志田峠頂上付近を追加
追加2011・5・31 志田峠付近の地図を追加
追加2011・10・2 境川相原橋右岸排水口を追加

 この春、「トイレの神様」と云う歌がヒットしている。懐かしく心にしみる歌だ。私は、かつて兵庫県の中央部を流れる加古川沿いを電車に揺られながら柏原まで行ったことがあった。柏原で行われた「巨木を語ろう全国フォーラム」と云う集いに参加するためだった。
 「トイレの神様」に登場するおばあちゃんは加古川の方だと云う。おばあちゃん曰く「トイレにはベッピンの女神さんがおられる。」と云う。そう云われると何だか無性にトイレが気になった。
 私はそんな観点で津久井の山々を廻ることにした。「水源には水神さんが坐す。」「女神さんかな・・・・・」そう思いながら、津久井の沢を駆け巡った。神の坐す津久井の山々、本当にこのままで良いのだろうか。どこかに歯止めのようなものがあるのだろうか?
 おばあちゃんへの限りない思慕と郷愁さを感じながら悲しくなるような残土の山を眺めた。

                           撮影2010・4・15(木)
  
 旧津久井町青山地区、八坂神社の奥宮か?牛頭天王宮と記されていた灯籠。かつて八坂神社の神輿がこのお宮まで担がれて来たと云う。灯籠は文政元年戊寅年六月に建立されています。灯籠の直ぐ脇には土橋があり道は川沿いに延び大岩に刻み込まれた道祖神で二俣に分かれ県道に出ます。今は通る人もなく荒れ果て、灯籠の対岸は熊笹で覆われていました。
 登りつめた県道の周辺は盛土で覆われています。川は安全か・・・心配は過るがこれは私ばかりのことか?
  
旧津久井町柿浜・横浜市水道局青山水源事務所

相模川水系(右岸)葉山島地区@        撮影2010・4・13(火) 
  

(当時の新聞記事から)
住民が県と城山町を提訴 葉山島の不法投棄で
 城山町葉山島の不法残土投棄問題で、同地区の無職Kさん(当時78)ら一家三人が十一月十九日、県と町を相手に損害賠償を求める訴えを横浜地裁相模原支部に起こした。
 kさんの自宅は問題の残土処分場に隣接、九一年八月の大雨で土砂が流れ込む被害を受けて以来、避難生活を送っている。訴訟内容は事前に土砂崩壊などの危険性を指摘したにもかかわらず、投棄業者への指導・監督を十分にしなかった行政の責任は免れない。業者の摘発後も跡地が放置された状態で、自宅に戻る見通しが立たず所有地などの財産価値も奪われたとするもので、賠償総額は一億五千二百六十万円。
 提訴に対して城山町のk町長は「町はkさんに対して一時避難所の提供をしている。また、県と協力しての防災工事など最大限の安産確保に努めてきた。誠に残念」と話している。                        (名前を省略)
      1996年(平成8年)12月1日(日) 相模経済新聞津久井版より

資料 「町政モニタなんでもレポートC」より
 気になる町の環境・・・・・・ 施行後の総合環境保全条例

旧城山町は水と緑に囲まれ、たいへん自然環境のよい町ですね。でも、昨年の6月には町が独自に「総合環境保全条例」を実施したと聞きました。そこで今、なで条例が必要なのか、また、条例の運用状況などK環境課長に聞いてみました。
自然環境・生活環境を守る町独自のルールづくり
   
Hさん/昨年6月、総合環境保全条例が施行されましたね。条例はなぜ必要だったのですか。
K課長/
本町は緑豊かな山々や相模川、津久井湖、城山湖といった貴重な自然に恵まれています。しかしその反面で、従来考えられていなかった新たな環境問題に直面するようになってきているんです。
Hさん/
そうでしょうね。具体的にはどのような問題が起こっているんですか。 
K課長/
山間部や河川敷へ建設残土を不法に投棄したり、無秩序な埋め立てなどから、土砂崩れなどの災害が発生したこともあります。また、(下略・実名略)
                   平成5年旧城山町広報「ぷりにーず」2月より転写

相模川水系(右岸)葉山島地区A 
  
参考:相模川国土交通省管理区間内の民有地と官有地との割合は50.4%が民有地となっています。また、河川敷では69%もが民有地です。

境川水系、穴川谷戸とその右岸側にある堂ヶ谷戸で見た残土
  

境川水系、瀧尻谷戸とその奥に見えた残土
  
 寛文4年(1664)検地帳の中に「堂谷」、「たきじり」の名称があり谷戸田がありました。残土の中にはコンクリートの塊が散乱し、水田や畑地への回復は困難と云えましょう。

境川水系、雨降(あめふらし)地区の奥に見えた残土 
龍籠山々系・雨降地区の現実と城山町議会決議の全文     撮影2011・4・30
  

境川水系・小松谷戸とその右岸側で見えた小野谷戸の残土

不法投棄で埋まってしまった小野谷戸の
    源流部にできてしまった池


資料 座談会での内容
     六月一日施行 総合環境保全条例
条例を通じて住みよい環境を考える
 条例制定の背景と考え方は(上略)
町長/条例制定の背景の第一点は昭和六十三年に小松地区に建設残土の不法投棄という問題が起こりましたが、これは業者が地主の許可を得ず、無断で投棄をしたことから法律的に押えることができましたが、地主の許可を得ていますと、全く法律的な規制がないということが、非常に心配の種だったのです。これを条例で整備していこうというのが一点  (下略)
 
  平成4年旧城山町広報「ぷりにーず」5月より転写

相模川・道志川水系下流部の右岸側に見えた残土


相模川・篠原川水系に見えた残土@
  

相模川・篠原川水系に見えた残土A     相模川・秋山川・川上川水系に見えた残土
  

相模川・秋山川・川上川水系に見えた残土(大羽橋周辺)
  

  

相模川・秋山川・川上川水系に見えた残土(大久和地区)
  

道志川水系・仲沢川水系に見えた残土(牧馬峠周辺)
  

  

  

  
石砂山周辺はギフチョウが生息する自然環境保全地域に指定されています。

道志川水系



串川水系・大橋沢の上流・谷戸沢全域に見えた残土(青山・関地区)
  

  

串川水系・隠し沢に見えた残土
  


稲生(いのう)の集落を流れる隠し沢の下流部






 古戦場 圍ひ沢(隠し沢)
 甲斐の武田信玄は、北条氏康の居城小田原を攻めて甲府に帰陣せんとして、相模川沿いて北上し、津久井愛甲の二郡に境する三増峠に待機をしたる北条勢と相戦ふ。時に永禄十二年十月八日なり。世に伝えられる三増合戦である。「甲陽軍艦」に記す処によれば、この合戦の時に武田信玄は、北条の出城である津久井城の備えとして、武将小幡尾張守重定に命じて、手兵千二百人をこの沢に、たむろせしめたり、故にその名が伝えられている。
 其後天保六年三月十三日八王子千人隊十人頭塩野適斎は幕府の命により地誌編纂のため調査を命じられて此の地を訪れて次の一詩を賦し「津久井県紀行詩集」の中に収められている。
 筑井城南 長竹の中
 潴
(みずた)は荒沢をなし 一区 叢なり
 甲兵伏する所 名跡を伝ふ
 今日 寥々
(りょうりょう)として 鳥、風を喚(よ)
      昭和五十三年十二月一日
      津久井町教育委員会 

   参考:指導指針・審査基準
   1 立地・・・盛土等に係る区域には次の区域を含まないこと。
   @ 自然公園区域、A自然環境保全区域、B近郊緑地保全区域、C特別緑地保全地
   D 保安林又は保安施設地区に指定された区域、E農用地区域、F史跡・名勝・天然
   記念物の保全に影響を及ぼす区域、G旧津久井町土地利用計画で風致地区として保
   全すべきとされた区域

  石神さまを祀る祠



石神地区の石神様
 「この神様は耳の病気をなおす神様で昔から訪れる人が多かった。
 この小さい祠の前に橋があり湧水が流れていたが、この水を病んでいる耳につけたり、洗ったりすると早くなおるとい
うことで、かならず汲んで行きそしてなおると、お礼に穴の あいたものをあげるか、その人の年の数だけ竹の輪切りにしたものを、水引きにてしばり格子枠にしばりつけて
供物をあげていった。」
 このお話は、「つくい町の古道」と云う書籍から引用しました。
 

中津川川水系・韮尾根地区「残土埋立絶対反対」の立看板     撮影2011・5・10
  
志田峠入口付近(韮尾根側)          志田峠 馬頭観世音
慶應二年寅如月 日
韮尾根邑 馬持中 世話人 井上與市 宮城治兵エ

  
志田峠の頂上から愛川・厚木方面を望む 残土が積み上げられている愛川町側の景観

  
相模原市緑区韮尾根側  トラックで運搬ができるように拡幅工事が行われました。

上溝 1/25000地図

     ↑朝日寺  ↑志田峠   ↑郡・市界 
長竹村絵図(部分)

天保七年九月 
「津久井の古地図」P34より転写
2002年3月津久井町史編集委員会編
関東ふれあいの道「北条武田合戦のみち」の通行にあたってのお願い(注意喚起)

旧城山町中沢地区・中沢水系、残土処分場計画があった跡地と今に残る林道の鉄杭
  


境川水系・小松谷戸   撮影2010・5・2
  
    ↑           ↑       ↑「建設残土 大型ダンプ通行反対」の立看板
              

境川 2010・5・25 PM            撮影2010・5・25 PM
  
  
境川・相原橋右岸  撮影2011・9・30/7:30 
  



 参考
      
                     神奈川新聞2012・6・9記事

            
                 神奈川新聞2013・6・5

              
             土砂等の埋立て等の規制について(相模原市HP)
             龍籠山々系・雨降地区の現実と城山町議会決議の全文
             馬本の水神さん
             横浜水道はじめて物語
             安全な水を送り続けています
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