西村皎三(こうぞう)、詩の世界 「小鳥」を中心に

2017・12・1 年譜風に「詩」のタイトル名のみを掲載する。
2017・12・10 「病舎にはクレオンの畫が貼ってある」を追加 
2018・1・31 「船團護送の歌」を追加
はじめに
 松尾芭蕉は、「奥の細道」の中で、「夏草や 兵共が 夢の跡」と名句を残しました。かっての戦場を、こうした「夢の跡」と呼び切るまでには500年もの歳月が必要ではなかったか、戦争は、どちらかに、また双方に例え大義名分があったとしても、憎しみや悲しみの度合いは深く末代までも続くのだ。
 日時は、満州事変以後の日本の責任は重い。そうした中、職業軍人として戦い、尊い命を犠牲にした西村皎三の心中を探ることは、これから先の、平和を願う意味でも決して無駄ではないと考えている。
 他に西村皎三の名の掲載されている本の「詩のタイトル」までを載せて見ました。当時の人々の様子を少しでも感知して戴けたらと思います。
 戦後も70年の歳月が過ぎました、あと430年もです。

戦争詩集    東京詩人クラブ,東京詩人クラブ 編 昭森社 1939
第1部 二神出征(河井酔茗) 武器を売る人(川路柳虹) 種子(北原白秋) 戦影二篇(北原白秋) 呉淞クリークの畔に立ちて(西条八十) 従軍ノートより(佐藤惣之助) 敵前掃海者の唄(佐藤春夫) 兵ら紅葉を食ふ(佐藤春夫) 正直一途なお正月(高村光太郎) 事変二周年(高村光太郎) 召集令(野口米次郎) 小鳥が歌ふ はがき 露営のともし灯(ギョオム・アポリネエル著 堀口大学訳) 俳体小詩(ジュリアン・ボカンス著 堀口大学訳) 死(ルネ・モオブラン著 堀口大学訳)
第2部 友田恭助の戦死(安藤一郎) 鳩(安藤一郎) 旗旆(乾直恵) 署名(乾直恵) 島の袂別(伊波南哲) 応召兵士の歌(伊福部隆彦) 言葉の花束(岩佐東一郎) 戦場通信(岩佐東一郎) 1937年の蛇(江間章子) 傷痍の秋(長田恒雄) 村の歌(長田恒雄) 戦死せる画家の友へ(大島博光) タマ(金子光晴) 詩(菊島常二) 戦線の秋(北園克衛) 軽快なボタン(樹原孝一) 通信(樹原孝一) 黄瀛の死(倉橋弥一) 詩人少尉(倉橋弥一) 豪宕たる貧歯類に寄す(高祖保) 貧歯類の雅懐に寄す(高祖保) 戦場の風景(小林善雄) 詩(近藤東) 雨(近藤東) キャンデイ(近藤東) 歌(酒井正平)
豹(笹沢美明) 音信(笹沢美明) 新しい歴史(佐伯郁郎) 旗(佐伯郁郎) 祖国(塩野筍三) 手紙(塩野筍三) 戦死する弟へ(城左門) 九夢(城左門) 現実につながる神話(杉浦伊作) 世紀の弩(鈴木昌) 日曜(田中令三) かどでの朝(露木陽子) 幼い騎手(露木陽子) 苦悩の世紀詩(東郷克郎) 白衣の勇士へ捧げる(中村千尾子) 戦争詩(永田助太郎) 前進する陣地(長安周一)
ハガネ(西村皎三) 破れた翼の思ひ出(野長瀬正夫) 前線への手紙(村野四郎) 陸軍病院にて(村野四郎) 亜細亜の麦(八十島稔) 愛児に送る手紙(山本和夫) 明月の下,私は大陸へ征く(山本和夫) 宣撫委員(山本和夫)
Pid/1128849
詩集 遺書   西村皎三/著 揚子江社 1940(S・15・9)再版1944(S19・3)

 
   小鳥
           はげしき空戦より歸りしを迎へてー
生きて歸ったといふことは
なぜ、こんなにも落寞
(らくばく)たるものであらうか

飛行服もぬがず
ひっそりと 木かげに黙ってしゃがんで
自分の小鳥に餌をやってゐる

草の葉を
いつもよりも細かくちぎって
それがなくなってしまふと
草色に染んだ自分の指先をたべさしてゐる


Pid/
愛国婦人 (117)  愛国婦人会 愛国婦人会 1940-12
和歌 / 齋藤茂吉 /
繪 / 吉田貫三カ /奉祝典に參列して / 水野萬壽子 /無上の光榮 / 金子太津子 /私の註文・今こそ結束の秋 / 力石喜乃子 /
座談會・婦人の進むべき道を海外同胞に訊く / KP八千穗 ; 東福寺とめ子 ; 富崎千代子 ; 堂本じう ; 永田なみ ; 三上志磨子 ; 水野萬壽子 ; 金子太津子 ; 宗像ツタ子 ; 井上八重子 ; 後藤治子 ; 岸澄子 ; 富安龍雄 /
詩 / 西村皎三 /
會員席 /經濟解説・師走と家庭婦人の反省 / 田中信太カ /良書のすゝめ / /名婦傳・情熱の人廣岡淺子 / 中山みち子 ; 長谷川まり子 /
銃後を守る人々 / /時代に生きる福島縣幼兒保育所 / /連載小説 美しき脈 / 氏原大作 ; 貫三郎 /新體制目方賣りの卷 / 中村篤九 /我が家の紀元二千六百年事業 / 新漫畫派集團 /エプロンミコチャン / 長谷川町子 /自肅新年料理 / 小林完 / 家庭メモ・修理に便利な親子針 / /

Pid/1759847
婦女界 61(5)  婦女界出版社 婦女界出版社 1940-03
雪を知らぬ南支の子供たちへ――歸還海軍將校より顏なじみの小學生へ / 西村皎三
(略)
Pid/3561912
野戦詩集  山本, 和夫, 1907-1996,山本和夫 編 山雅房 1941
標題 /目次 /
我が戰線 加藤愛夫 /大場鎭 /嘉定にて /蘇州 /大湖 /揚子江を渡る /南京入城 /血の遺留品 /光華門 /夜行軍 /露營の朝 /挺身隊 /黄河 / 隊繃帶所 /野戰病院 /大運河 /大運河を渡る /落城迫る徐州近くにて /徐州入城 /徐州 /宿營 /江上の月 / 安慶にて /野營地 /盧州 /手紙 /漢口への道(その一) /漢口への道(その二) /峯に立つ /漢口 /漢口初夜 /佛祖界にて /元旦 /黄鶴樓 /
荒鷲の歌 西村皎三 /ある渡洋爆撃の前夜 /遺書 /壁 /小鳥 /野風呂 / 病舍にはクレオンの畫が貼つてある /ハガネ /默劇 /刺青 /我々の腦裡から /かくして我等成長せり /
愛國の道 長島三芳 /清水 /雲 / 砲列 /水のうまさ /弔歌 /夜の屍兵 /握飯 / 心 /盧山 /夜襲行 /小さな形見 /荻の花 /部隊の線 /進軍 /菜の花 /塹壕 / 銃火 /砲彈 /無題 /悲歌 /若い兵士の頭 /機關銃 /夜襲 /好日 /新戰場 /陽湖
(はようこ) /
展望哨 佐川英三 /雨 /夜闇 /濕地帶 /風 /荒土 /一本の桃の木 /砲撃 /ある時 / 馬 /馬斃る /砲彈咆ゆ /敵 /墓標 /歴史 /風景 /展望哨 /軍用列車 /北京の眼 /
一兵卒の歌風 木雲太郎 /戰友の巣 /告別 /戰列 /桑の實 /夜間行軍 /炎熱の行軍 /進軍 /廣東入城の日 /轍の跡 /馬と征く道 /戰貌 /山嶽を征く /焚火 /驟雨望郷の歌 /柘榴の花 /病兵 /野戰病院の午後 /傷心の歌 /
野戰の手帳 山本和夫 /その母(序詩) /新戰場 /壺 /泥靴 /鈴木部隊長 /ある兵の獨白 /生きる /死 /戰場の知性 /軍用電話 /野の花々 /訃報 /鐡路 / 宣撫委員 /佛 /南支K部落にて /春の跫音 /密偵CHINA /虎 /REMBRANDT /
編纂の後に山本和夫 /

Pid/1128854
詩歌翼賛 : 朗読詩集 日本精神の詩的昂揚のために 第1輯   大政翼賛会,大政翼賛会文化部 編 目黒書店 1941
標題 /目次 /
詩の朗讀について…高村光太カ /千曲川旅情の歌…島崎藤村 /智慧の相者は我を見て…蒲原有明 /小景異情…室生犀星 / 朝飯…千家元麿 /紀元二千六百年頌…北原白秋 /地理の書…高村光太カ /送別歌…佐藤春夫 /碎氷行…大木惇夫 /雪消の頃…尾崎喜八 /おんたまを故山に迎ふ…三好達治 /歸還部隊…草野心平 /
叱る…西村皎三 /「詩歌の午後」について…岸田國士 /
Pid/1906248
少女倶楽部 20(2)    大日本雄弁会講談社,大日本雄弁会  大日本雄弁会講談社 1942-02
/はじめの言葉 / 少女倶樂部 /
第一回大詔奉戴日を迎へて / /科學物語『松かさ拾ひ』 / 槇?浩 ; 印東弘玄 /繪物語『梅桙骰』 / 加藤まさを ; 久米元一 /日本の着物 / 後藤守一 /石が成長する話 / 大石哲路 ; 早川孝太カ /大東亞戰爭詩華 / 佐藤惣之助 /寫眞物語『鳩の歌』 / 久里原一登 / 小さき花 / 田代光 ; 牧水江 /初卵 / 三芳悌吉 ; 後藤楢根 /
詩『ラツダル鳴らして』 / 鈴木御水 ; 西村皎三 /伊達源一カ先生に珍しい小鳥の話をきく / / 日本海軍の猛訓練をきく / 上田中佐 ; 古橋中佐 /敵前上陸 / 小川眞吉 ; 柴田賢次カ /櫻花の心 / 土村正壽 ; 水島あやめ /名作物語『里見八犬傳』 / 岡友彦 ; 高野正巳 /誰にでも出來る樂しい研究 / 大石俊雄 /『冬の芽』をしらべる / 栗山重 /お腹と腰を強くする運動 / 藤村トヨ /やさしいアツプリケの圖案とその應用 / 岩崎春子 /時局問答『太平洋を壓する凱歌』 / 千葉愛雄 /朗誦文『日本の山』 / 深田久彌 / 先生の日記『私のポケツト』 / 平野婦美子 /我が校のほこり『鍛へる少國民』 / 山路武夫 /仲よし手帳(連載漫畫) / 長谷川町子 /森の子馬 / K崎義介 ; 小柴信彦 /輝ける道 / 長谷川毬子 ; 菊池ェ /新しき風 / 辰巳まさ江 ; 大庭さち子 /峠の記念祭 / 吉田貫三カ ; 日吉早苗 /
Pid/1780132
少女画報 30(10)     新泉社,東京社 新泉社 1941-10
西村皎三航空詩集――遺書・小鳥・ある渡洋爆撃の前夜 / /空の花束 / 北澤純 ; 安本永 /日支事變に於ける日本空軍 / A・ウーラツハ ; ドイツ大使館情報部 /飛行機はどうして發達したか / 中村新太郎 /レオナルド・ダヴヰンチ / 小名木滋 /爆撃機の話 / 根岸英雄 /空中戦實話リヒトホーフエンサーカス / 丘野繁夫 /私達が飛行兵だつたら / /私達が戦闘に参加したら / カネコ・シゲマサ /私達が整備員だつたら / /滿洲事變十周年 / 早川宗男 / 女學校ロマンス雪割草 / 辰巳まさ江 ; 露木陽子 /心の四季 / 安本永 ; 南川潤 /早春の航海 / 日夏駿介 ; 堀壽子 /勞務動員に参加して / 飛彈道子 /法律・洗濯・風呂敷 / 戸塚文子 /移動演劇の性質と仕事 / 日本移動演劇聯盟 /蘭印の歴史 / 渡邊渡 /國の華(瑞穂踊り) / /デツサン集 / /ローマンス / 日夏駿介 /秋 / 辰巳まさ江 /椅子の少女三題 / 安本永 /女學生記(映?物語) / /電氣の應用時代(科學講座) / 永野爲武 /木之花佐久夜毘賣(古典鑑賞) / 高橋新吉 /少女の經濟學(經濟講座) / 山本健 /幽靈の害(科學生法) / 石田周三 /靜寛院宮(日本女性物語) / 内野健兒 /歌(英詩對譯) / 大島博光 ; C・G・ロセツチイ /季節の約束を破りて(服装讀本) / 冨田英三 /コーカサスの俘虜 / 島大作 ; トルストイ ; 岡本潤 /三つの手紙 / 日夏駿介 ; 野溝七生子 / 入選小?開拓地の少女 / 岩下邦鞆 ; 藤田すみ /ガールス・ライフ / /
Pid/1799203
現代愛国詩集          日本青年詩人聯盟,日本青年詩人聯盟 編 山雅房 1941
標題 /目次 / /
第一部
 普天の下・河井醉茗 /貝殻と歴史・川路柳虹午睡の夢・加藤介春 /紀元二千六百年(朗誦詩)・北原白秋 /敵前渡河を見る・佐藤春夫 /進軍・佐藤惣之助 /新軍刀を讚ふ・西條八十 /天津の月・白鳥省吾 /春・千家元麿 /式典の日に・高村光太郎 /三國同盟頌・土井晩翠 /世紀の曙光・野口米次郎 /晩秋・萩原朔太郎 /無題・福田正夫 /老馬行・堀口大學 /大怪獸を斃せ・正富汪洋 /日本國民詩・三木露風 /ふるさと・室生犀星 /泥・百田宗治 /
第二部 /
百姓讀本・淺井十三郎 /足・伊波南哲 /旗・石原廣文 /跫音・臼井喜之介 /夕闇の列車・内田博 /永遠・江口隼人 /民族の秋・小田邦雄 /國境・小笠原啓介 /新兵器篇・大村主計 /戰友よ・加藤愛夫 /秋深く・上林猷夫 /原始日本・川口治洋 /東鷄冠山・川島豐敏 /深夜の讃歌・川野邊精 /輪轉機は叫ぶ・河西新太郎草笛・黒澤榮太郎 /偶感・葛原博史 /祖國への祈念・越川廣 /祈り・小宮三森 /君は歩む・佐川英三 /松・佐賀連 / 1菊の季節・島崎曙海 /血のあけぼの・鹽野筍三 /勇士の歸還・清水房之丞 /國民學校一年生・澁江周堂 /希望・杉浦伊作 /ホロンバイルの高原にて・杉山眞澄 /櫻・田村昌由 /氷雪・武井京 /御稜威の下・千葉克夫 /船出する私達・角田竹夫 /東亞の手・南條蘆夫 /稻扱きの歌・丹羽莊一 /日本海界隈・濱田乃木 /晝寢の苑・古川賢一郎 /父さんのお寫眞・古谷玲兒 /國建章・松本帆平 /第三部 /上海雜草原・池田克己 /肖像畫に寄せて・久須耕造 /彈丸・佐藤光貞 /崖の上・月原橙一郎 /南方戰線詩抄・中室員重 /
病舍にはクレオン畫が貼つてある・西村皎三 /征途につく日・山本和夫 /音信は遺稿に・青木輝 /眉間・沖田廸 /熱城の歌・風木雲太郎 /たたかひ・鈴木國男 /延線・高橋春男 /手記抄・故 田中清司 /秋の日・西上秀雄 /支那の村々・蓬莱隆次 /鐡鋲を打つ・山邊道夫 /野戰病院にて・吉田曉一郎 /
後記 /
Pid/1128828
日本詩壇 9(1)(86)        日本詩壇発行所 1941-01
山も海も深い靄にとざされてゐる / 小野十三カ /古き甕 / 山娥 /訪墓記 / 村野四カ /河 / 近藤東 /海のかなたへ / 能村潔 /望郷 / 藪田義雄 /雪 / 安部宙之介 /十國峠 / 高木秀吉 /好日 / 岩佐東一カ /飢渇 / 菱山修三 /崖の上 / 月原橙一カ ; 吉澤獨陽 /身邊の歌 / 原田種夫 /平戸島 / 山田牙城 /二千六百年詩集 / 奧保 /日本は更に新しい火藥を / 葛井知雄無題 / 加藤健 /さそりの歌 / 古川賢一カ /わが墓碑銘 / 大塚徹 /征旅 / 森田四カ /南溟を想ふ / 南條蘆夫 /紀元二千六百年奉祝式典の日 / 川口治洋 /黄河 / 蓬莱隆次 /うごめき / 小林C一カ /木屋川邊にて / 福富武人 /白い神 / 舟木由岐 /海の見える斷崖 / 冬寒日 / 柴俊介 /蝉の歌 / 木下夕爾 /冬夜庭訓 / 三宅光也 /絆の月日 / 加藤眞一カ /ひとみ / 小田邦雄 /湯境 / 原比呂志 /大山津見神 / 河井醉茗 /言問 / 北原白秋 / 紅い太陽 / 三木露風 / 北東の風、雨 / 高村光太カ /詩人 / 川路柳虹 / 新年の辭 / 萩原朔太カ /史的幻想 / 堀口大學 /揚子江を溯る / 佐藤惣之助 /總力戰に賦す / 富田碎花 / 二千六百年 / 佐藤C /天津の月 / 白鳥省吾 / 生命の顯現之頌 / 福田正夫 / 波 / 前田鐵之助 /交替の時 / 喜志邦三 /葡萄畑への道 / 大木惇夫 /岩の上 / 吉田一穗 /鼻祖 / 安西冬衞 /朝の手紙 / 北園克衞 /秋 / 岡崎C一カ /二千六百年を迎ふ / 草野心平 /農民歸村 / 西村皎三 / 落英抄(その二) / 岡本彌太 /甲斐の唄 / 塚本篤夫 /揚子江をさかのぼる歌 / 瀧口武士 /白き刺繍 / 間司恒美 /トラクター / 前田いさむ /五月 / 山本和夫 /岳のはてに / 乾直惠 /室戸岬にて / 佐伯郁カ /哀歌 / 田中令三 /流れ / 安藤一カ /北方の碑 / 岩本修藏 /秋 / 江口隼人 /納豆の歌 / 杉浦伊作 /古園 / 松本帆平 / 群 / 池永治雄 / 聖恩 / 山内隆 /海國の譜 / 藤本浩一 /影と冬季の現象 / 藤村誠一 / 目・海 / 吉川則比古 /名まへなきものへ / 大島博光 /眞夏の分列式 / 鈴木久美 /奉祝の夜 / 杉野文一 /療養日記 / 藪田嘉美 / 久遠のいのち / 國廣勝太カ /花園 / 後藤敏夫 /新生 / 藤村讓 /常榮寺の門柱 / 林かほる /氷河期 / 深海愁 /午後の運動場 / 前田威 /護國の魂祭り / 吉田賢正 /霙の丘 / 内海聰 /訪郷悲話章 / 松崎かをる /黎明 / 蟹澤悠夫 /掌の詩章 / 古川眞 /海鳥 / 足立蔦二 /歡喜 / 穴田澄子 /A Marchen / 松下眞木子 / 宿命 / 安部英雄 /あゆみ・あゆむ / 葉樹えう子 / 秋愁 / 仁衞砂久子 /痕 / 西本輝子 /日曜日 / 安田邦生 /齒車 / 丹羽征夫 / 隕石 / 千村英一 / 河口村にて / 山本C一 /樽 / 寺中太一カ /曇天 / 最上妥 / 海のある風景 / 鎌田健一 /白い箱 / 細井有 /桴――(いかだ) / 前田靜秋 /北京の傑作 / 箕浦?廣 /窯二篇 / 揖斐史カ /朝 / 近藤博 /二千六百年 / 紀靜誰 /幻想譜 / 山田迪孝 /化石 / 森駿一カ /雨 / 西田正一 /月光にぬれて / 古林謙二 /靖國神社合祀の夜に / 上田吉夫 /情炎の春 / 小出厖 / 墓標に捧ぐ / 仲村花醉 /東邦紫金の列島 / 網代渡 / 選炭婦 / 平田知士 /海へ / 岡本熟 / 池畔に偲ぶ / 千葉壕 / 誇 / 淡路あきら / 花 / 古志峰カ /妹の墓にて / 池田澄 /鞦韆に乘つた僕 / 尼ケ崎豊 / 頽癈のあとに來たる幸福 / 藤田枝葉 /雲に寄す / 高井夕起夫 / 砂の山 / 向井久雄 / 白鳥 / 矢倉豊 /小さな藝術 / 江崎淺太郎 / 大樹 / 三浦昧爽 / 泛搖華抄 / 橋本高之 /威望 / 花城逸男 /我夜を愛す / 楯一馬 /薪らしき遭遇點 / 福井金三カ /秋の歌 / 福來道夫 / 十二月三十一日よ / 西田喬 / 夜巷 / 衣民折也 /海の歴史 / 海老名禮太 / 白鷺 / 宇津木賢 / 白イ風景 / 酒井梅次カ /歩行 / 木村信吉 / 廣東陷落の日に / 太田明 / 蜩 / 大野良子 /皇紀二千六百年の秋 / 眞鍋勝見 /水の精神 / 竹内はじめ /無題 / 長谷敏男 / ホロンバイル高原にて / 杉山眞澄 /門 / 窪田駿二 /憩ひのひまに / 入谷劉一 / みそれ / 松田幸夫 / 旅さきにて / 福島公肇 /展開 / C水逹 /入江の偶話 / 鹽谷安カ /葩象 / 脚雄 /夜あけ前の歌のなかで / 吉野多美子 / 詩に生きて / 江島朋子 /鳩を放っ日 / 桑門つた子 /秋の祭典 / 松本ゆり子 /秋日 / P木次カ /いまの日の歌 / 三枝響 /紙風(几+百の合字) / 臼井喜之介 / 季蔭偶唱 / 三吉良太カ /悠久 / 田坂數夫 /新宿通信 / 佐藤總右 /或る老人 / 上國料讓夫 /稻扱きの歌 / 丹羽莊一 /大淀川 / 砂見あきら /芽 / 小島祿琅 /窒息 / 利木田光 /療養日記抄 / 佐賀蓮 /迸る世紀 / 南咲夫 / 聖者とは / 谷山敏光 /この茫念 / 村岡半風 /出發の朝 / 奈良進 /叉統線 / 竹岡範 / 夜への手記 / 水島秋夫 /哀歌 / 萩野卓司 / 裸の倫理 / 大塚雪カ /時雨の夜 / 河田惠介 /豚と調理士 / 東達夫 / 風影 / 植田義雄 /秋の花 / 下村隆英 /夕暮の歌 / 奧村秀雄 /炭坑夫と鼠 / 山縣深雪 / 唖人 / 酒井一實 /母 / 龜田九十九 /宿命の街 / 曉龍之助 /北の國の祝祭 / 蜂谷光太カ /白い雨 / 川崎匡太カ /たより / 加納C五カ /無風章 / 伊藤隆夫 /體力テスト / 北島啓 /ぷらすちつく・ますく / 下戸億史 /未完成の風景 / 岩澤摧 /平和の上に / 上野彰久 /山天子 / 衣笠夢二 /千人針 / 上田康 /悔恨の詩篇 / 三川新吉 /諦めの生活 / 赤松芳影 / 鏡の中の生活 / 生田義哉 /R・M・リルケに / 井上エシノ /紀元二六〇一年 / 村島哲夫 /秋の夜 / K崎福鳳 /嵐――(二千六百一年) / 金山保 / 滿洲鴉 / 上山秀夫 /黎明 / 平木英介 /母 / 長門鳴海 /落魄者の群 / 丸山吉三カ /薄暮感 / 島木谷彦 /赭土の徑 / 川田隆 /わたしは歩いた / 永海安夫 /轉回 / 高村尚之 /霧の三ツ峠 / 美津ひろし /皇民 / 邱淳洸 /古里 / 新田鐵次カ /乙女と薔薇 / P木貞 /斷片 / 瀧澤冬司 /日本の道 / 水野子葉 /私の詩 / 原口伊世カ /弟よ / 新井溪風 /一つの斷層 / 山僕カ沙漠 / 大山修本 /人間頌 / 谷正夫 /黄昏の歌 / 小作孝一 /雲雀 / 石蛙太カ /街 / 田中慶治 /農婦の聲 / 飯田ともゑ /小曲二つ / 吉川俊一 /下總の葛飾の野の人々に贈る詩 / 葛原積 /大地を貫くもの / 江尻北窓 /春待つ / 加藤滋雄 /秋の別れ / 五百旗頭欣一 /わが言葉をゆるせ! / 谷垣修二 /霧 / 圷實 /歸郷の朝 / 琵琶村梓 /ひとつの風景 / 佐野武夫 /秋の夕 / 木健三 /やみのなぎさに / いしべきんきち /富士の裾野 / 佐藤殷生 /立秋 / 川口眞澄 /淡い夕陽よ / 金炳○ /世紀 / 岡島ヒロ子 /全國詩人住所録 /
Pid/1490881
日本詩壇 9(3)(88)       日本詩壇発行所 1941-03
富士は冴えたり / 西村皎三
(略 )

Pid/1490883
日本詩壇 9(6)(91)        日本詩壇発行所 1941-06
少女工の歌 / 西村皎三
(略)
Pid/1490886
日本詩壇 9(10)(95)      日本詩壇発行所 1941-1
牛洗ふ男 / 西村皎三
(略)
Pid/1490889
旗艦先頭 : 少年少女詩集      西村皎三著 中央公論社 1942
十二月八日 / 時鐘の歌 / 朝の新聞と牛乳 / 双眼鏡を首にかけた艦長 / 小鳥の歌 /午前八時 /
艦首の花 / なぜマストや甲板が /重油の花 / 双眼鏡を首にかけた艦長 鷹 / 龍宮 /海藻はヒットラー・ユーゲントのやうに /日の出 /スクリュー君大猛泳の圖 /冬の鴎 /ライフ・ライン /ジャイロ・コンパス / 氷の海にも春が來た /大しやもじ /ラッダル鳴らして /賽錢樽 /ライフ・ライン /潮ぶろ /鼠とり / ある波の日の出來事 /軍艦糧食積み /意地わる波 /芋蟲かついだ /航空母艦 /煙突坊主 /格子戸のあるタオル白鉢卷 /洗濯日和 /太平洋の春 /六月、まっ白い服で /雲と水兵 / まっKい夢の中に /白鉢卷 /砲煙と砲口 /舷門番兵 /水兵さんの手 /
就寢喇叭   解説 /後記 /
Pid/1869371
野戦詩集          山本和夫 編 山雅房
標題 /目次 /
我が戰線 加藤愛夫 /
荒鷲の歌 西村皎三 / 愛國の道 長島三芳 /一兵卒の歌 風木雲太郎 /野戰の手帳 山本和夫 /
Pid/1128855
火の国 : 詩集        西村 皎三/著 興亜日本社 1942
Pid/
地理の書 : 朗読詩集 他八篇  大政翼賛会,大政翼賛会文化部 編?翼賛図書刊行会 1942 (詩歌翼賛 ; 第1輯)
標題 /目次 /
詩の朗讀について・高村光太郎 /地理の書・高村光太郎 /千曲川旅情の歌・島崎藤村 /朝飯・千家元麿 /紀元二千六百年頌・北原白秋 /送別歌・佐藤春夫 /雪消頃・尾崎喜八/おんたまを故山に迎ふ・三好逹治 /歸還部隊・草野心平 /
叱る・西村皎三 /詩歌の朗讀運動について・岸田國士 /
Pid/1128838
日本詩集        野長瀬正夫 編 洛陽書院 1942
標題 /目次 /伊福部隆彦詩集 /西村皎三詩集 /高村光太郎詩集 /中勘助詩集 /武者小路實篤詩集 / 野長瀬正夫詩集 /増田晃詩集 /江口隼人詩集 /佐藤惣之助詩集 /佐伯郁郎詩集 /阪本越郎詩集 /三ツ村繁藏詩集 / 千家元麿詩集 /
Pid/1128835
幼年倶樂部 17(2)       大日本雄弁会講談社 大日本雄辯會講談社 1942-02
雪の道 / 滑川道夫 ; 尾義雄 ; 蕗谷虹兒 / 頭かり / 小野忠孝 ; 川上四カ /私の家 / サトウハチロー ; 安泰 / 白はちまき / 西村皎三 ; K崎義介 /紀元節 / 大木雄二 / わんわん日記 / サトウハチロー ; 芳賀まさを /四つじのくわんのん樣 / 小山勝C ; 田中良 /ヒノキマル / 濱田廣介 ; 川上四カ /待ちすぎたねこ / 南川C吾 ; 武井武雄 / 火の話 / 吉田弘 / ざうり作り / 宮脇紀雄 ; 熊谷元一 / つばき島 / 水上不二 ; 川島はるよ / 日本の水 / 上澤謙二 ; 澤井一三郎 / 雪かき / コ永壽美子 ; 多田北鳥 / はつうま / 加藤武雄 ; 藤澤龍雄 / 國歌『君が代』 / 松永健哉 /びつこの犬 / 後藤楢根 ; 松野一夫 / 氷の國の子ども / 千葉省三 ; 河目悌二 / 渡邊登 / 大木雄二 ; 齋藤五百枝 /東部第八十六部隊けんがく / /スンガリーの朝 / 石森延男 ; 河目悌二 /雨の日 / 平野婦美子 ; 野水昌子 /おとうさんの人形 / 片山昌造 ; 井口文秀 /たのしいかずのゆめ / 藤原安治郎 /私たちのけんきう / 堀七藏 /冬のどうぶつゑん / 福田三郎 /たのしいこうさく / 大迫義紀 / 竹棒できたへる / / 私は何でせう / 柚木卯馬 /
Pid/1789175
幼年倶樂部 17(10)      大日本雄弁会講談社 大日本雄辯會講談社 1942-10
たいちやうのじばく / 西村皎三 ; 富田千秋 /神嘗祭とお米 / 古谷綱武
(略)
Pid/1789182
文化日本 6(12)       日本文化中央聯盟 1942-12
<法隆寺仁王尊> / 伊藤幸夫 / 表紙
<兵舍の一部>――扉繪 / 小川眞吉 /大東亞戰爭一周年特輯 /大東亞戰爭と國民の覺悟 / 奧村喜和男 /大東亞戰爭の再確認のために / 小林元 /戰時生産力搴ュと科學技術の振興 / 篠原登 /大東亞戰爭と日本文學の將來 / 保田與重カ /近世攘夷思想の課題 / 小泉祐次 /朗讀詩 /
時鐘の歌 / 西村皎三 /解説 / 花森安治 /爪哇の木偶人形芝居(下) / 南江治カ /文化映畫賞の成果と批判 /綜合賞候補作品の審査について / 長谷川如是閑 /文化映畫賞の入選作總觀 / 津村秀夫 /演出賞選出に關聯して / 村治夫 /音樂部門への感想 / 園部三カ /録音賞感 / 田口りゅう三カ /撮影賞について / 田中敏男 /昭和十七年度前期 文化映畫賞綜合賞候補作品並部門賞入選作品發表 /聯盟だより /關係團體の活動 /編輯後記 /
Pid/1553967
國民演劇 2(12)      牧野書店 牧野書店 1942-12
表紙 / 中川一政 / 表紙  船團護送の歌――(朗讀詩) / 西村皎三 /
朝暁より次第に朝へ移ってゆく爽快で静かな音楽を序曲風に。
音楽の中にゆるく、何かの拍手に舷側を打つ港の中の波の音、一二回。・・・・
音楽を次第にしぼって、朗讀
     午前八時
人間が生きてゆくためには
どんな人間でも
なにかしらその時々の物音を待ってゐるものです
単純ではあるが、思ひ返してみると胸にしみじみと來る
生活の音楽とでもいふやうな
書類をめくる音とか
ラッダルをかけのぼる音とか
皿を洗ふ音とか
ハイと答へて部屋を引き下る音とか
さういふ物音がみんな
はたと自分自身の音楽をやめて
粛然と艦尾の方へ向いてゐます
午前八時
軍艦旗上げの時間です

        粛然(しゅくぜん):@静まりかえっているさま。また、かしこまり静まるさま。
                  A礼儀正しく、おちついたさま。また、おごそかなさま。
港の中のあちらにもこちらにも聞える君が代の喇叭(ラッパ)・・・・。
途中から段々しぼってこの時の最後のところで又強く聞える。
君が代のラッパが海に空に鳴りわたってゐます
強く
やさしく
あかるく
あたゝかく
野菜畑にふりそゝぐ
春の雷雨のやうに
みんなづぶ濡れになってゐます
づぶ濡れになりながら
青々と伸びあがるうれしさに
づぶ濡れなんぞ少しも気にならぬ野菜たちのやうに
士官も、水兵も、みんな
君が代の雷雨を浴びながら
粛然と、軍艦旗の上りゆくさまを仰いでゐます

午前八時
軍艦といふ軍艦はことごとく
一日の生活に向っていき(く)と立上る時です
雨後の野菜のやうに青々と

間ー一
秋晴れの大きな海を航く感じの音楽。・・・
ゆるい大きなうねりの音。

アナウンス 船團は港を出てから、既に相當の時間がたち、堂々と列を組んでジグザグ運動をしながら南下中であります。
次第に強く舳先にあたる波の音。甲板を洗ふ音。大小様々の波の交錯。その中からジグザグ操艦の號令がゆるやかにサビを帯びた聲で聞こえる。
・・面(おも)かーぢ・・・ようそろー・・・・(二回ぐらい繰返す)音楽をしぼって、・・・・所々にうねりの音を入れる。
(略)
もう小さな魚どもにさへ馬鹿にされて
薄暗がりの海の底に
いつ迄もいつ迄も
のろのろして居れなくなったのだらう
日本の兵隊さんたちが
敵前上陸のため
船團が堂々と南へ下るといふこの日
もうなんとしても一目見たくて
我慢がならなくなったのだらう
(略)
原詩 年倶楽部17(2)  昭和17年2月 発行
    白鉢巻
絹なんかぢやありません
木綿です!
両はしをギュツとひっぱって日向にふると
気持のいゝ音がして
細かい羽が無数に飛び立つ
あの白木綿です!
あの白木綿を四つにたゝんで
後鉢巻に
キュツとぼんのくぼにしばりつけるのです
まなじりの吊る程しばりつけるんです

    白はちまき
きぬなんかぢやありません
もめんです!
両はしをぎゅつと引っぱって
ひなたににふると
気持のいい音がして
こまかい羽が むすうにとび立つ
あの白もめんです
あの白もめんを四つにたたんで
後はちまきに
きゅつと ぼんのくぼにしばりつけるのです
まなじりのつるほど しばりつけるんです
すると
濃ゆーいつばが
しぜんに歯の間から湧いて来て
湧いたつばを
ピッピッと、てのひらにはきつけると
水兵さんたちの五體には
ギリギリと日本人の血潮がもみ上って来ます
もう、こゝ迄くれば
水兵さんたちの
どの眼も
どの歯も
どの顎も
笑ひかはしてさへゐます
すると こゆうい つばが
しぜんに はの間からわいて来て
わいたつばを
びっびっと手のひらにはきつけると
水兵さんたちの五體
(たい)には
ぎりぎりと
日本人のちしほが もみあがって来ます
もう ここまで来れば
水兵さんたちの
どの目も
どのはも
どのあごも
笑ひかはしてさへゐます
いつ何處から来るかわからない
敵襲にそなへて
上衣なんざ
とうの昔にぬぎ棄てゝしまひました
誰もかれも
瓦斯マスクを箙
(えびら)のやうに背負って
襦袢一枚
たたかひの一時(ひととき)
じゃうい
(上衣)なんざ
とうの昔にぬぎすててしまひました
春にはまだ寒い海の風が
びゅうびゅうとうそぶいてますが
じゅばん一枚
ガスマスクをえびらのやうにせおって
ズボンの裾は小綱でしばり
砲の傍らに
魚雷のわきに
方位盤の廻轉椅子に
水兵さんたちは立ったり腰かけたりしてゐます
やがて、なんかの気配を感じたのでせうか
もうまがないでせう
護送船は次々と信號旗を揚げて
速力をあげ突っ走り始めました
そして水兵さんたちは、と見れば
もう一度

ズボンのすそは小づなでしばり
砲側
(ほうそく)
魚雷
(ぎょらい)のかたはらに
方位盤(ほういばん)の廻轉椅子(くわいてんいす)
水兵さんたちは
立ったり腰かけたりしてゐます
もうまがないでせう
てききが
てき潜水艦
(せんすいかん)があらはれるのは
ごらんなさい
水兵さんたちは
もう一度
きり(く)と鉢巻の結びをひきしばりました
とん(く)とその上をたゝきました
風は益々リギンに、ヤードに、うなって千切れて
しかし船團は、依然としてゆるやかに上下しながら
絶えず南方指さしジグザグ航行してゐます。


きりきりとはちまきの結びを引きしぼりました
とんとんとその上をたたきました
ふねふねはすでにそくりょくをまし
風は
リギンヤードにうなってちぎれて
主力艦隊は
たえずぢんけいをかへながら

ジグザグかうかう(航行)をしてゐます。
方位盤:きょりや、方かうや、砲しんのゐちなどをきめて、大砲をうち出す、たいせつなきかい。
リギン:ほばしらのけたに、はったほづな
ヤード:ほばしらに、よこにかけた けた。
ジグザグかうかう:てき潜水(せんすい)艦の しふげきをさけるため、いなづまがたに進むこと。
愉快な烹炊を感じさせる音楽。
アナウンス こゝは、兵隊さん達の烹炊所であります。   烹炊(ほうすい):煮たきすること
蒸汽のもれる音。澤山の人が庖丁で爼(まないた)の上に大根などを早く切るリズムカルなど・・・・・。音楽と共に「大しもじ」の歌をメロデーに乗って朗讀
でっかい、でっかい
でかアい釜
ずらりと九つならんでる
ホホー九つならんでる
千人前の麥ご飯
ほか(く)たけたぞ
もうたけた
それ行け、さ
行け、でかしゃもじ
ーーみんなお腹がすいたろなあ
でっかい、でか
でかしゃもじ

ずらりと九つ釜の前
千人前の麥ご飯
ホホー麥ご飯
もや(く)蒸気に
かすんでる
それつげ、さアつげ、でかしゃもじ
ーみんなお腹がすいたろなあ
間ー
しづかな夜更の星空を感じさせる音楽。
アナウンス 船團は灯を消し、しづかにうねりに乗って尚も南下中であります。
ゆるいうねりの音。
音楽をしぼって、微かな波の音の中に風に吹かれて上甲板の號笛の音(ヴイ・・・ボウ・・・)つゞ いて「第一直哨兵交替用意」といふ長く伸ばした號令。は中甲板を歩きながら、やゝ低く、短く、二回位繰りかへされる。
リギンに鳴るやゝ低い風の音。
舷側を打つ波の音。
風に吹かれて八點鐘(正午)の音。
やゝ間ー
(音をしぼるが、適宜のところに微かに出し、水栓を垂れる水の音などの感じを出す)

     小鳥の歌
まことにのどかなさへづりが
どこからともなく耳にしみて来ました。
わたしはまぶたをとぢたまんま
夢うつつに開いてゐました

ふるさとの疊のうへに
わたしはねむってゐるといふのでせうか
雨だれのうつる
草屋根の軒のさへづりのやうでもあるし
裏山の木もれ日のなかをチラ(く)するさへづり
のやうでもあるし
それともー
ーいや、ちがふ
ーちがふ、ちがふ!
しぶい目を急にひらいて
わたしは耳をすましてみました
それから
水兵さん達のじゃませぬやう
そうっとベッドをおり
はだしのまんま
だれか固くしめるのを忘れてゐる浴室の
水栓をしめに行きました。

でも一度夢にきいた
ふるさとの裏山、村々のさへづりは
楽しく依然として わたしの胸につゞいてゐます
音楽の中に波の音。波の音しづかに消える。
追記 本篇は小生の詩集「旗艦先頭」より採った詩をつないで新しい形式の朗讀詩として書いたものである。作曲は倉重舜介氏。小生個人の作といふべきでなく、放送協會の南江治郎氏との合作とも稱すべきものである
Pid/1506136
愛国詩集          日本放送協会,日本放送協会 編 日本放送出版協会 1942
標題 /目次 /
第一部 /
彼等を撃…高村光太カ /全亞細亞民族に叫ぶ…野口米次カ /戰勝のラジオの前で…西條八十 /新たなる暦…尾崎喜八 /
大詔渙發の日…白鳥省吾 /撃つべし彼等…福田正夫 /雪降れり…佐藤一英 /この朝…宮崎丈二 /空を―そして海を見よ…角田竹夫 / 決意はすでに堅い…尾崎喜八 /海の神兵…佐藤惣之助 /アメリカ太平洋艦隊は全滅せり…三好達治 / 僕達は足踏をしてゐる…百田宗治 / 香港の日章旗…西條八十 / 天馬を驅りて征く…深尾須磨子 / 戰捷に感激して…千家元麿 /旗…佐伯郁カ / 呼びかける…堀口大學 /我が子にヘふ…勝承夫 /日本の空…井上康文 /大東亞戰爭…河井醉茗 /彈丸…野口米次カ /母の大義…竹内てるよ /十二月八日…前田鐵之助 / 亞細亞に捧ぐ…神保光太カ /眞住吉の神…河井醉茗 / 日出づる國のお正月…阪本越カ /マニラ陷落…野口米次カ /世紀の詩…川路柳虹 /光の嵐…佐藤春夫 /ラングーンの爆撃…野口米次カ /シンガポール陷落…高村光太カ /シンガポール陷落…野口米次カ /聲…長田恒雄
神の御裔の國の歌…西村皎三 戰捷の春…吉田絃二カ /
第二部
/ (大詔奉戴…大政翼賛會撰 /必死の時…高村光太カ /殉國の歌…佐藤惣之助 / 旗…藏原伸二カ / 正義の鋒先…土井晩翠 / 感激の賦…長田恒雄 /擧りたる神の裔…村野四カ /二千六百一年の明けゆく日本に寄す…前田鐵之助
/聯合艦隊は某地に集結してゐる…西村皎三 / 九つの眞珠のみ名…三好達治 / 眞珠灣の軍神…西條八十 / 初雪の日…中西悟堂 /神の軍勢…藏原伸二カ /神國顯現…相馬御風 /臣らの歌…室生犀星 /少年航空兵…尾崎喜八 /劍と共に…佐藤一英 /最低にして最高の道…高村光太カ /その母…山本和夫 /祖國よ…鹽野筍三 /橋を架くるは誰ぞ…安積得也 / み軍に從ひ奉らん…藏原伸二カ /南洋を望んで…丸山 /日本の歌…室生犀星 / 武者繪…阪本越カ /梅の花に立つ…笹澤美明 / 男の聲…近藤東 /K潮…大江滿雄 /沸きあがる歌…草野心平 /祖國を護る…井上康文 / 此の糧…尾崎喜八 /山中にて大詔を拜す…藏原伸二カ /ラジオよ…岩佐東一カ /新しき天使…岩佐東一カ /兵隊…島田磬也 /鐵鋲を打つ…山邊道夫 /きこえる…近藤東 /大空にふるさとをみる…平野ェ /
Pid/
1905204
少女画報 31(1)      新泉社,東京社 新泉社 1942-01
輝く陽(表紙) / 安本永 /祈武運長久(口繪) / 安本永 /
みなみのうた(口繪) / 竹田伸二 /夜しづか / 辰巳まさ江 /美しい新年 / 永瀬C子 ; 安本永 /
海藻はヒツトラー・ユーゲントのやうに / 安本永 ; 西村皎三 / 竹(俳句) / 辰巳まさ江 ; 加藤楸邨 /輝く朝(詩) / 安本永 ; 村野四郎 /法隆寺を訪ねて(散文) / 須木司朗 /大和乙女(詩) / 竹田伸二 ; 勝承夫 /グラフ 連峯雲・戦ひ抜け / /年頭にあたり勤勞少女君に與ふ / 難波三十四 / 勝たねばならぬ! / 齋籐瀏 / 昭和十六年十二月八日(詩) / 須木司朗 / アジヤの母(詩) / 長田恒雄 / 空襲何ぞ恐るべき / 難波中佐 /進め一億火の玉だ! / 大政翼贊會 / 働く少女への手紙 / 竹内てるよ ; 岡田三郎 ; 城夏子 /感謝の中に生きる心 / 古谷綱武 /紀元二千六百二年を迎へて全國少女の皆さんに / 緒名士 / 新しい年を迎へて勤勞少女の決意 / 古俣敏子 ; 蛭間C子 ; 飯塚千鶴子 / 井上傳子(日本女性物語) / 内野健兒 /ねがひ(英詩對譯) / 奈切哲夫 ; クリスティナ・ロセッティ / 生物進化の思想(科學講座) / 永野爲武 /登山小史(ハイキング讀本) / 上田徹雄 / 少女の經濟學(經濟講座) / 山本健 / 戰功馬 / 福田三郎 / 軍歌・愛國歌物語 / 櫻山十四 / 或る保姆の記録 / 日本映画社 /臺灣物語サヨンの鐘 / 小林土志朗 / 歴史物語ソンタム王と山田長政 / 竹田伸二 ; 常岡悟郎 / 天鵞絨のまんと / 金子基子 /開花期 / 齋藤史 /南方の乙女 / 生田花世 /長篇葡萄の村 / 安本永 ; 崎山猷逸 /カナリヤ / 金子重正 ; 戸塚文子 /日向の夢 / 竹田伸二 ; 南川潤 / 三階の娘たち / 金子重正 ; 由利聖子 /入選小説印度リンゴ / 池澤廣美 ; 砂川和美 / 童話冬のたんぼで / 島大作 ; 二反長半 /新春漫畫風景 / 杉本三カ ; 富永秀夫 ; 濱野政男 ; 中川蚊巣 ; 小山重於 ; 信田力夫 /私たちの隣組 / カネコ・シゲマサ /ワンダーフォーゲル報告記 / 高水三行 / 春場所開く / 戸塚ナオミ /
Pid/1799205
少女画報 31(3)       新泉社,東京社 新泉社 1942-03
朝の新聞と牛乳(詩) / 西村皎三 /
(略)
Pid/1799206
少年倶樂部 29(2)    大日本雄弁会講談社,大日本雄弁会 大日本雄辯會講談社 1942-02
少年寫眞新聞 / / ぼくたちの仲間 / 石森延男 ; K崎義介 /僕等は職場へ / サトウ・ハチロー / 僕等の科學 火砲の威力 / 原田三夫 / 名作童話 ドリトル先生船の旅 / 井伏鱒二 ; 河目悌二 / 詩畫集 大東亞戰 / / 特別折込 あゝ十二月八日のハワイ眞珠灣軍港 大東亞戰爭地圖 / /肇國の精神と大東亞戰爭 / 中谷孝雄 /聯合艦隊司令長官 山本五十六大將 / C閑寺健 ; 嶺田弘 / 戰時下の少年少女諸君へ / 東條英機 /海軍大臣嶋田繁太カ閣下出題全日本少國民綴方大募集『わが海軍』 / /ハワイ襲撃の荒鷲を思ふ / 西村皎三 / 大東亞戰爭の地理・歴史 / 木村毅 ; 小川哲男 /世界無比の敵前上陸 / 平櫛孝 /歴史小説 楠木正成 / 大佛次カ ; 齋藤五百枝 / 海洋事實物語 無人島に生きる十六人 / 須川邦彦 ; 北宏二 /智惠の一太カものがたり 消えれ足あと / 小松龍之介 ; 高嶺登 / 少年小説 少年團の旗の下に / 松永健哉 ; 齋藤五百枝 /愛馬 良榮號物語 / 小津茂カ ; 安泰 /動物病院をたづねて / 小川哲男 /心の花たば / /わが家の新聞 / 野村芳兵衞 /ほがらか王君 / 林田正 / 健ちやんの鍛錬 / 井上一雄 /春近い村 / 武田亞公 ; K崎義介 / 大伴部博麻 / 加藤武雄 ; 山口將吉カ /一せん燈籠 / 久米元一 /發明への道すぢ / 石原純 /軍人の子 / 田中敏馬 ; K崎義介 /少國民詩 / 滑川道夫 / 厚生大臣賞贈呈全日本少國民綴方入選發表『私の鍛錬』 / 田中豐太カ /
Pid/1758736
大詔の下に :          大東亜聖戦詞華集 大和書店 1942
標題 /目次 /
詩 /
新たなる暦・尾崎喜八 /感激の賦・長田恒雄 / 炎・川路柳虹 /大詔を拜し奉りて・藏原伸二郎 / み軍に從ひ奉らん・同 /われら斷じて戰ふ・草野心平 /殉國の歌・佐藤惣之助 /香港の日章旗・西條八十 / 彼等を撃つ・高村光太郎 /鮮明な冬・同 /太平洋・高橋新吉 /母の大義・竹内てるよ / 正義の鋒先・土井晩翠 /十二月八日・中西悟堂 / 初雪の日・同 / 母の心妹の心もて・永瀬清子 /
聯合艦隊は某地に集結している・西村皎三 /宣戰布告・野口米次郎 /宣戰大詔・福田正夫 /その日の神々・丸山薫 /捷報いたる・三好達治 / 擧りたて神の裔・村野四郎 /
短歌 /
洪濤・會津八一 / 香港・石榑千亦 / 十二月八日・尾上柴舟 / 雷火・太田水穗 / 對米英開戰・岡麓 / 開戰第一日・岡山巖宣戰大詔・川田順 /天兵・香取秀眞 /大東亞戰爭・北原白秋 /宣戰詔勅を拜せし直後に・窪田空穗 /神のいくさ・佐佐木信綱 / 轟沈・齋藤茂吉 /四天雲晴・齋藤瀏 / 神劍降魔・相馬御風 / 神代より・茅野雅子 /日本讃歌・土屋文明 / 日米開戰・逗子八郎 /敵性撃滅・土岐善麿 /皇軍禮讃譜・中河幹子 /大詔渙發・前田夕暮 / 聖戰・結城哀草果 / 凱歌・吉植庄亮 / 詔勅を拜して・與謝野晶子 /感激・若山喜志子 /
俳句 /
大東亞の春・青木月斗 /嗚呼皇國・飯田蛇笏 /米英膺懲・臼田亞浪 / 大詔下る・荻原井泉水 /征矢・高濱虚子 /國起ちぬ・富安風生 /天地歡聲・長谷川かな女 / 捷ちに捷つ春・日野草城 / 戰勝祈願・水原秋櫻子 / 大和島根・山口誓子 /皇軍に謝す・矢田挿雲 /大詔渙發・渡邊水巴 /
Pid/1127385
聖戦に歌ふ        : 大日本詩集大日本詩人協会,大日本詩人協会 編 欧文社 1942
西村皎三 /椎の古木 /
(略)
Pid/1128797
国を挙りて          : 大東亜戦争詩集佐藤惣之助, 勝承夫 共編 甲子社書房 1942
西村皎三 / 詔書遂に下る /
(略)
Pid/1128840
日本詩壇 10(2)(98)       日本詩壇発行所 1942-02
回答 / 西村皎三
(略)
Pid/1490892
日本詩壇 10(5)(101)      日本詩壇発行所 1942-05
脊は美しくまろく / 西村皎三
(略)
Pid/1490895
内原の朝 : 他十二篇      青少年詩集大政翼賛会,大政翼賛会文化厚生部 編 翼賛図書刊行会 1943
標題 /目次 /
内原の朝・尾崎喜八 /久米の子・平田内藏吉 /みんな聽いた・百田宗治 /みいくさ・室生犀星 /星一ツ・近藤東 /この秋・三ツ村繁藏 /忠靈塔・岩本修藏 /世界の舵手・丸山薫 /
航空母艦・西村皎三 / 雁・千家元磨 /をるさと・大木惇夫 /言問・北原白秋 /牛・高村光太郎 /よい詩を讀まう・百田宗治 /
Pid/1097549
少女倶楽部 21(12)   大日本雄弁会講談社,大日本雄弁会 大日本雄弁会講談社 1943-12
詔書 / /朗讀詩歌 大東亞戰爭繪卷 / 木俣修 ; 山本和夫 /一機も還さず / 日比野士朗 ; 笹岡了一 /ソロモンに戰ふ / 日野藤吉 ; 飯塚羚兒 /人形の兵隊 / 玉井政雄 ; 小川眞吉 / 敵前の山砲 / 里村欣三 ; 三輪孝 / 初雪 / 宮脇紀雄 ; 辰己まさ江 / 樹氷の林 / 大瀧重直 ; 澤井一三郎 / 電氣の上手な節約法 / 沼畑金四カ /慰問人形の作り方 / 岩松マス / がんばる者が勝つ / 武田尚昌 / 寒さと兵器 / 中坊俊夫 /みんな元氣で / 立上秀二 ; 河目悌二 /あかつきの花園 / 大庭さち子 ; 三芳悌吉 /渡邊崋山 / 太田K克彦 ; 山口將吉カ / 漫畫 道子のタドン作り / 長谷川町子 /卷頭言 固いちかひ / /大祓を受けませう / 大塚兼紀 / 詩・守宮 / 西村皎三 / 職場に咲く / 池田きみ枝 /不自由にうちかつ心 / 岡初野 /
Pid/1780154
国民詩 第1輯         中山省三郎 編 第一書房 1943
脊は美しくまろく・西村皎三
(略)
Pid/1128826
国民詩 第2輯      ,中山省三郎 編 第一書房 1943
目次 /高原・田中克己 /藍に五體を染めて・島崎曙海 / W參謀に・山本和夫 /生活の簡素・藤原定 /北の國境・加藤愛夫 / 故郷の歌・佐川英三 /大いなる朝・岩本修藏 / 歌はぬビツケル・尾崎喜八 /戰爭・竹村俊郎 /靖國の祭り・高橋新吉 /若き神・岡崎清一郎 /菊の佳節に會ひて懐を述ぶ・安西冬衞 / 大御歌・大江滿雄 / 日本刀・近藤東 /厦門占領の歌・西川滿 /三人の志願兵・菊岡久利 /道・瀧口武士 /あの聲・安藤一郎 / 一つの星・竹内てるよ / 白菊の歌・八十島稔 / 魚雷の歌・仲村渠 / かさねた地圖・山田岩三郎 /鷄・與田凖一 / 滿洲の夏・巽聖歌 /あの日・小林純一 /歴史・堀口大學 /故郷の入口・草野心平 /わがうた・佐藤一英 /成熟・菱山修三 /夏・北園克衞 /鳥海山・阪本越郎 / 郷土賦抄・長田恒雄 /通過完了・中野秀人 /父・村野四郎 /秋の日・田中冬二 /この言葉、降らせよ・笹澤美明 /富士山・西村皎三 /繪卷物詞書・城左門 /歴史・乾直惠 / ひかりと影・渡邊修三 /旅の手帖・高祖保 /遠い富士・野田宇太郎 /波の上・大木實 /音樂に寄す・大島博光 /花はいつ見ても美しい・稻津靜雄 /淺春・山本信雄 /朝霧・牧章造 / 生きる先々・山之口獏 / 十二月八日・岩佐東一郎 /老いたる密麻の王者・尾島庄太郎 /いかづち・火野葦平 / 黄土の岸・中山省三郎 /
Pid/1128834
現代愛国詩選    評釈江口, 隼人, 1905-1948,江口隼人 著 洛陽書院 1943
標題 /決戰の詩 /危急の日に(高村光太カ) /召集令(野口米次カ) / 大東亞戰史序曲(佐藤春夫) / 香港の日章旗(西條八十) /海の神兵(佐藤惣之助) /天業恢弘の詩(福田正夫) / 十二月八日のこと(百田宗治) / おんたまを故山に迎ふ(三好達治) /旗(藏原伸二カ) /大陸の雪は霏々として(北川冬彦) /農民歸村(西村皎三) /神國(丸山) / 歸還部隊(草野心平) / 擧り起て神の裔(村野四カ) / 雲(山本和夫) /音なき歡送(角田竹夫) /みいくさとともに(長田恒雄) /スコールのごとく(永PC子) /御民のひとり(南條芦夫) /東方の神使(山村耕二) /この力(加藤愛夫) / 墓標(佐川英三) / 感情の果て(大瀧C雄) /手(中室員重) /告別(風木雲太カ) /C水(長島三芳) /水兵(佐藤光貞) /銃後の詩 / 萬葉の精神(河井醉茗) / 臣らの歌(室生犀星) /兒の骨を葬りて(川路柳虹) /冬の雨(白鳥省吾) /史的幻想(堀口大學) /此の糧(尾崎喜八) /雪降れり(佐藤一英) /母(阪本越カ) /?史(笹澤美明) /野菊(野長P正夫) /日本を愛す(田中克巳) / 崖の上(月原橙一カ) / 海鷲(大江滿雄) / 花と夕月(竹内てるよ) /征馬行(大野良子) /足(伊波南哲) / 祖國(鹽野筍三) / 秋童(松本帆平) /天地黎明(杉浦伊作) /たんぽぽ(三ツ村繁藏) /びしよぬれの馬(C水房之亟) / 怒り祭の詩(武井京史) /家(石原廣文) / 神宮表參道(寺田弘) /櫻(田村昌由) /征野の弟へ(臼井喜之介) /天長節觀兵式(及川均) /自作詩五篇 / 砲(江口隼人) / 太平洋(江口隼人) /美しき水(江口隼人) / 勇者の死(江口隼人) /忠魂碑(江口隼人) /あとがき /
Pid/1705435
少国民海洋詩集        日本青年詩人聯盟,日本青年詩人聯盟 編 玉川学園出版部 1943
標題 /目次 /海に出ろ…伊波南哲 / 無敵戰艦大日本…石原廣文 /かもめ…生田花世 /決意…井上憲治 /海國日本少年…林柳波 /艦首の花…西村皎三 /海水浴…堀口大學 船…千葉克夫 /潮風浴びて…川野邊精 / 難航…川路柳虹 /海…川島豐敏 /海の凱歌…河西新太カ /海の子…田村昌由 /僕は口唇をかんでゐる…武井京 /君達の海…角田竹夫 /ピイサンの唄…南江治カ /海へ行かう…南條蘆夫 /海は僕等の搖籃だ…中野繁夫 / 七月の海…内田義廣 /手紙…小田邦雄 /國來…久保田宵二 /海の日記…K澤榮太カ /海と童子、海…前田鐵之助 /世界の舵手、海に聽く…丸山 /海の子達…松本帆平 /海の御光…福田正夫 / 海戰…小林愛雄 /海は呼ぶ…小宮山千秋 /海の魂…越川廣 / 旅の海…江口隼人 / ボルネオの油…寺田弘 /海邊に立ちて…淺井十三カ /海國男兒の歌…尼ケ崎豐 /少年飛行兵を想ひて…佐藤一英 /海の歌をきかう…笹澤美明 /海…阪本越カ /海について…菊池正 / 眞珠灣の軍神…白鳥省吾 /日本の海…鹽野筍三 /海を見る…C水房之丞 /岬に立ちて…島崎曙海 /僕等の太平洋…島田芳文 /海のこどもだ僕達は…志田十三 /旅順港第三囘閉塞隊…杉山眞澄 /海を愛す…杉浦伊作 /共榮圈の海…入内島庸朔 / 出帆…壹岐本正夫 /地球儀…橋本史芳 /日本の海…西村愛夫 /船に乘つて…西山五百枝 /海に叫ぶ…本間一咲 / 海の子…コ永壽 /白い波は招く…河合俊水 / 海…片山俊 /海をみてゐる…長野晶水 /太陽のこども…大倉芳カ /海國少年…國井重三 /海邊のうた…松永みやを / 思ひ出…松崎新平 /海の子…小島圭吉 /海の鱗は光る…天沼ないみ /平野の少年の歌へる…[齋]木家義 /海…木村信吉 /パガン島近海…森田勝壽 /少年のうた…瑞木[]子 /貝殼は…趙 /僕は海が好きだ…鈴木國男 /海…鈴木久夫 /
Pid/1720399
海軍献納愛国詩謡集     大本営海軍報道部,大本営海軍報道部 編 興亜日本社 1943
  詔畫遂に下る・西村皎三
(略)
Pid/1128796
国民詩選        昭和18年版興亜書局 1943
第一部 /
山道のをばさん・高村光太郎 /軍神加藤建夫少將・三好達治 /つはものの母の夢の歌・尾崎喜八 /明けがたに戰死者を弔ふ歌・大江滿雄 /美しき朝・竹内てるよ /旃檀夫人・西垣脩 / 頭山滿先生・菊岡久利 / 紀元節・笹澤美明 /
第二部 /
日本を愛す・田中克己 / 高天原・高橋新吉 /瑞穗の國の田見の歌・瀧口武士 / 山岳多き國土に育ちぬ・永瀬清子 /石廊岬・佐藤惣之助 /品川沖觀艦式・萩原朔太郎 / 富士・金谷丁 / 大和十津川郷・野長瀬正夫 /柏原・田中冬二 / にひがた・森道之輔 /里がへり・三枝響 /南海物語・上林猷夫 /南島婦女圖・長崎浩 /
第三部 /
曠野他三篇・北川冬彦 /
「國土の賦」よし・逸見猶吉 / 大連港・藤原定 /池下山脈・上路忠雄 /或る日・會田綱雄 /國土新生・鳥崎曙海 /北滿詩篇・佐川英三 / 上海雜草原・池田克己 /三十里堡附近にて・田村昌由 /熱河・川島豐敏 /黄河の詩・城小碓 /風景・佐伯郁郎 /
第四部 /
檄印度に飛ぶ・野口米次郎 /死府の復活・菱山修三 /香港の日章旗・西條八十 / バンタム灣の翌夜・大木惇夫 /沸きあがる歌・草野心平 /止み難き衝動に驅られて・北川正明ビルマ戰線にて・山本和夫 /パイアレバー附近にて・中室員重 /
南支那海・西村皎三 /日沒五分前・丸山薫 /
第五部 /
應召・山之口貘 /入隊の日に・大木實 /輜重特務兵・月原橙一郎 /にほふもの・大瀧清雄 /曳光彈・岩井五郎 /友・須郷圓太郎 /銃創・並木和夫 /見學・小山正孝 /榮光のなかに・牧章造 /高木上等兵・青木郁子 /進軍・鈴木亨 /きこえる・近藤東 / 1行進・村野四郎 /
第六部 /
一本の釘・竹中郁 /武者繪・阪本越郎 / 庭訓・城左門 /流扇・梶浦正之 /出陣の旦・安西冬衞 /獻辭・野田宇太郎 /翼への祝詩・殿岡辰雄 /序説・今田久 /タイヤ・平岡潤 /繭・荒木利夫 /容と質に就て・酒井正平 /山の精神・臼井喜之介 /列車・岩佐東一郎 /
第七部 /
海の小景・千家元麿 /膃肭臍・宮崎丈二 / 立秋・藏原伸二郎 /村・中山省三郎 / 遠い世界で・神保光太郎 /昊天・眞田雅男 /秋風の中に・淺井十三郎 / 天歴・山田嵯峨 /霧の中から・小宮三森 /柿・内田博 / 海について・菊池正 /磯・金井新作 /砂丘にて・秋山清 /
第八部 /
なれとわれ・伊東靜雄 /靜かな少年・津村信夫 / 山の歌、海の歌・西川滿 /マンゴーの木・楊雲萍 /路上・藪田義雄 /塔・長田恒雄 /麥・北園克衞 /晝・一瀬稔 /櫻・伊藤桂一 /緑蔭悲願・齊木家義 / 太陽への思慕・清水三郎 /枇杷・前田純敬 /牧師館・安西均 / 草を敷いて・勝承夫 /
第九部 /
天隕・吉田一穗 / 風・中野秀人 / 夜の歌・大島博光 / 氷河・壺井繁治 /夏の時・岡崎清一郎 /百歳の後・平野威馬雄 /早曉・病迦山人 /灰・竹中祐太郎 / 萩原朔太郎・江口隼人 /ものな言ひそね・深尾須麿子 /筍・金剛サチ /六月の憂鬱・中村千尾 /季節の扉・坂窗江 /女たちへのいたみうた・金子光晴 /
第十部 /大工場六篇・小野十三郎 /パミール・倉橋顯吉 /星他一篇・吉田欣一 /野菜・耕治人 /
岡の上で・草野天平 /高層雲・前田哲冶 / 豆・宮崎讓 /大河・里見謙三 / 火上げ・田木繁 /農事實行組合長・木村信吉 /蝉族・吉本孝一 /吹雪の夜の詩・岡本潤 /後記・編者 /
Pid/1128818
愛國詩 ~の御裔の國の歌        西村 皎三[作詞],石K 達也 コロムビア
Pid/3573265
愛國詩 かくして吾等成長せり    西村 皎三[作詞],丸山 定夫 コロムビア
Pid/3573255
日本出版文化協会 推薦図書 9月  函館市中央図書館所蔵デジタルアーカイブ デジタル資料
Pid/
 
  
  詩集 遺書」
    昭和19年3月 再版
「詩集 遺書」  (目次) 装幀及び題字川端龍子

壁/壁  かくして我等成長せり  隠花植物
荒鷲の歌
遺書  ある渡洋爆撃行の前夜  小鳥  病舎にはクレオンの畫が貼ってある
     ハガネ  黙劇  寒流の響きを持った男の歌

噴水/廢村蕭條  村  春聯はくれなゐなれど  安居樂業 
燃える廣東/廣東行  蟻  武漢遂に陥ちたり  紅毛人の瞳を横切って 黄沙驛にて
/刺青  腕  風呂  夕明りの頃
活火山/活火山  藤椅子  叱る  仔犬と盆栽
後記/
後記(全文・一部(略)を残して記す。 2017・12・11 保坂
 昨年の暮れもおしせまる頃、内地へ歸るまで某航空隊の主計長と副官の職務をとってゐる間に書きとめた詩は長短とりまぜて四十篇位にもならうか。その中から選び出したのがこの集のものである。私はそれ等の詩を、僅かな暇をぬすんでは、部屋の中や、草の上や、便所のなかや、崩れた土塀の上で書いた。メモや、手帳の端や、煙草の空殻や、塵紙などに。書くといふよりもその時々の感慨をたたきつけるといふ方が當ってるかも知れない。さうしたものを内地に持ち帰って公務の傍ら筆を入れたりした。
 今、書きなぐったそれ等の詩篇を整理してみると、當時の感慨の陰影までも思ひ出されて、さながら自分の肉體の一片々々といふやうな感がある。
 當時はとても新しい形式どこの騒ぎではない。なにか無性矢鱈に吐き出したいばかりに様々の使ひ古された皮袋にギシ(く)詰め込んだ。さういふ皮袋は到底この大きな現實の表現には適當しないことをもどかしく思ひながらも、絶えずその大きな、まっ黒い現實を乗り越えるために、その皮袋のべり(く)音を立てゝ破けるのを耳にしながら書きまくった。何か噛みつくやうな気持で。さうして詩とならずに、感慨の残片で筐底に残されたものも相當ある。
 私の詩はどれをみてもごつ(く)してゐる。まづい。滌
(すす)ぎが足りない。だが、その時、その場所に感じて第一の言葉や調子や、山紫水明の、電燈の煌々とついてゐる蟲市が出来て浴衣がけで歩ける街なかなどではさう安々と書き直せるものではない。むしろガリ(く)と書きなぐったまゝで置いた方がいゝと、出来る限りその儘にした。例へばこの集の詩でも氣づくやうに文語調のものが相當ある。その文語調のを、内地に帰って静かな疊の生活をしてみると、なんとなくぎこちなくて、時にはへんに肩肘を張り過ぎたやうに感ずるときがある。が、その當時の緊迫した心構へと、文語のもつ朗詠調を愛する気分から、どうしてもこれでなくちゃならないと思った。この文語と口語の差があるのではなからうか。
 私は知らず識らずのうちに日本的なものを、特に日本の氣魄を書かうとしてゐた。それは絶えず大きな現實を乗り越えんとする意識のあらはれかも知れない。
 私はまた、飛行機乗りの詩を相當澤山書いた。が、所詮いくども飛行機に乗ったとはいへ、悲しいかな、どうしても地上員の眼である。結局、天竺航空兵曹の、/持ち行きし一千發の機銃弾思ふがまゝに打ちつくしたり/の境地には達し得なかった。恐らくこの短歌は荒鷲の書いたものゝ壓巻であらう。
内地(ないち):大日本帝国憲法下の日本において、外地に対する日本の本土をあらわした呼び方。→
感慨(かんがい):心に深く感じて、しみじみとした気持ちになること。また、その気持ち。「
※筐底(きょうてい):箱の底。箱の中。「―
※蟲市():
文語と口語の差():
氣魄(きはく):力強く立ち向かってゆく精神力。
天竺航空兵曹():
壓巻(あっかん):全体の中で、最もすぐれた部分

       × 
 その頃、といっても去年の四月だが、私達はいよ(く)南支に向けて出かける新しい航空隊の編成訓練に多忙な日を送った、或る内地の一角で。人員、器材、軍需品が、きらめく瞳や新しい匂ひで着々と充實し、準備される傍らで飛行機乗りたちの訓練は夜に日をついで目ざましく行はれた。すでに中支、北支で生々しい實戦の經驗を身につけて来た分隊長等の指導をうけ、よく晴れた空高く二組三組と巴になってからみ合ったり、對地攻撃の胸のすくやうな爆音が私たちのすぐ鼻先を擦過して行ったりした。そのうちに仲々わからなかった行先の状況などもはっきりして来たが、どれをきいても香ばしいものではなかった。砲撃、空爆をうけるのは當り前として、雨傘・百歩・青竹などの毒蛇・マラリヤ・チブス・赤痢・ペスト・痘瘡・なんていふ疫病、それに物凄い暑さがある。が、それ等の困難が段々とわかるたびに士官も兵隊も、何かしら歓聲のやうなものをどっと挙げた。悲壮なものを飛び超えて、苦難よ、来らば来れ、といふ気持だった。それがある朝、突然、その土地の防備隊から、敵爆撃機六機襲撃、目下交戦中といふ無電が飛び込んで来た。當時の日誌をみると、「何か熱いものが体(身+區の合字)を流れるのを感じた。いよ(く)眞近かに来たぞといふ感。飛行場に訓練を見にゆく。正午、分隊員を集めて話をする。先發隊員を熱望するもの全部なり。その眼と顔に眞實のいろを觀て頼もしき思ひ」と書いてある。
 それから幾日かして急に餘定が繰り上げられ、私は先發隊のひとりとして出かけることになり、二時間餘りで家をたたんでしまった。私も飛行機乗り達のやうに、短かい日にちを小さい方の子供と女房を呼んでささやかな家を持ったのである。「最後の晩餐」といふやうなこころから。そして出發前に貰った一日だけの休暇には、近くの御陵にお参りして、朝の杉の幹の美しさについて話したりした。かうしてあはただしく家をたたんだが、まだ少しばかり時間がある。その時間を私は、これが最後の内地の風呂と、子どもを抱いて湯舟につかった。すると子供は汽車ポッポに乗る樂しさから早くあがらう、早くあがらうと私をせき立てた。私は彼等を送って、これで思ひ殘すことは何もないとハッキリ自分に云ひ聞かせた。もはや私はさば(く)した氣持で森閑たる落着きの中に立ってゐた。
擦過(さっか):かすること
青竹などの毒蛇
森閑(しんかん):物音一つせず、静まりかえっているさま

       ×
 日本人は土壇場にゆくと、いかにして生くべきかといふよりも如何にして死すべきかーへんな死にざまはしたくないといふ考へを持つ。これは強ち軍人ばかりではなく戦線にゐる日本人の誰しもが持つこころであらう。ある士官は大便をしてゐる最中に空襲の聲を聞いたのが一番辛かったと述懐した。便所ン中で往生したとあっては、全く死にきれないからね、と云って盃の酒のこぼれる程笑った。みんなも笑った。なにかギラリと煌めくものを奥深く感じながら、しかもそんなもの全然氣がつかぬやうな顔付で。
述懐 (じゅっかい):考えている事や思い出を述べること。その述べた内容

       ×
 おなじく木綿地でも繃帯地と下帯地とではその内包してゐるもの、その雰囲氣として持ってゐるものが全然違ふ。前者にはほのかな郷愁があり、温かくいたわり抱くこころがあるが、後者には、何度でも乗り越えてやるぞといふ意志的なものがガッシリと根を張ってゐる。おんなしやうに血を吸ふにしても、繃帯地はそれをひろげてみせて、ああ、お前はよく戦ったといふが、下帯地はいつも最小限度に擴がりを食ひ止めて、何だ、これ位歯を食ひしばれ、食ひしばれといふ鐡の聲を持ってゐる。かすかに黄味をもった色、肌理の荒さ、ぐいと引き伸ばすとパンと音のしさうなこの晒木綿は日本的なものゝ一つであらう。
 前線のものはこの晒木綿をこよなく愛した。特に飛行機乗りはさうである。彼等は空中線を餘期してゆくときは必ず眞あたらしいのを誰れにいはれるでもなく、締めて行った。恐らく祖先から流れて來た一つの流れであらう。
 彼等の出發の圖はまことに美しい。私はI中尉が夏草のなかに後向きに立ったまゝ眞新しい下帯をつけ、その上に白絹の千人針を巻くのを見て、(えびら)梅の花をさしてゆく若武者を感じたものである。飛行機乗りはその上、長官からいたゞいた「必勝」の鉢巻を額に、胸には小型のブローニングを持つ。中には手に日本刀を持つものもゐた。Y隊長の言葉によると、日本刀は。冷静、沈着、果斷(かだん)を與へるからだといってゐた。恐らくこれも先祖からの血の流れであらう。
 彼等が一度かういふいでたちをして駛走するシートにその顔を乗せるとその風貌、體躯はがらりとその趣を異にする。その瞳、その肩、私たち見送るものゝふる手に答へるやゝ後に傾いたその腕等に驚くほど強靭な美しさを示すのに全く愕然としたものである。
 駆けのぼる飛行機の流れも逞(たくま)しく、美しい限りだ。全く機體と人間との一如の世界である。その敵を斃(たお)さずんばやまざるの氣魄がその世界にじん(く)と脈打ってゐる。そのダイナミックな美しさを私はひそかに感嘆し、走]し、あゝして行って死ぬならば悔いはないとさへ屡々(たびたび)考へた。
 さうして帰って來る。報告する。解散する。するとごく當り前の顔をして配食器を持ってのっそり(く)歩いてゐたり、すぐ自分の隣で茶漬をさらさらかき込んでゐたり、夜は夜でべちゃ(く)した汗の中で鼾(いびき)をかき歯ぎしりしたりする。この男たちの何處にあのやうな鋼鐡のもつ美しさがあるのだろうかと思ふときがある。いや、これが本當の人間の、日本人の姿だと考へた。
木綿地(もめんじ);
繃帯地(ほうたいじ);
下帯地(したおびじ);ふんどし。または、腰巻き。
肌理(きめ):@もくめ。木理。 《木目》  A皮膚や物の表面の細かいあや。B物事をする際の心くばり。
晒木綿(さらしもめん);小幅の生木綿地を漂白したもの。単にさらしとも呼ぶ。
千人針(せんにんばり);戦前まで日本でさかんに行われた、多くの女性が一枚の布に赤い糸を縫い付けて結び目を作る祈念の手法、および出来上がったお守りのこと。
箙(えびら):矢を入れて背に負う道具。
ブローニング();小銃
果斷(かだん):思い切りよく事を行う・こと(さま)。
駛走(しそう);速く走ること。疾走。
風貌(ふうぼう);風采(ふうさい)容貌(ようぼう)。身なり・顔かたち等の様子。
體躯(たいく);からだつき。体格。
強靭(きょうじん);しなやかで強いこと。柔軟でねばり強いこと。また、そのさま。
氣魄(きはく):はげしい意気込み・気力。強い精神力。
感嘆(かんたん);1.感心して、ほめること。 2.なげき悲しむこと。
走](せんぼう);うらやむこと。
配食器();

       ×
 海軍ではパイロットとか搭乗員とかいふよりも、飛行機乗りといふ俗語がよく使はれる。それはより深い親愛と尊敬をもって云はれ、時には走]をもって、時には矜恃(ほこり)をもって云はれるときがある。
 飛行機乗りは、航空隊では刀の尖みたいなものである。敵の胸板を貫く切尖。その以外のものは整備料も、工作料も、通信料も、醫務科も、主計科も、軍夫も皆程度の差はあっても、その切尖を鋭利(えいり)にするための油であり、砥石である。いはゞ椽の下の力持ちである。私はさうした蔭の力を見落として輝やく光の面だけに眼を向け勝ちな世間一般に、こゝで一言注意して置きたい。
切尖(きっさき);切り口、先端
鋭利(えいり):刃物などがするどく、切れ味のよいこと。転じて、才気のするどいこと。
(えん)の下の力持ち;

       ×
 徐州々々と草木は靡(なび)くといったさうだが、當時南支に居た私たちも廣東を目ざす心はその心であった。いくつかの尊い犠牲を忍びながら、地味に鐡橋や軍事施設を、それも神経過敏なほど第三國の権益に注意しい(く)爆撃したのも後から考へてみれば、色々の効果はあったが、その頃は血の氣の多いものには、何をぐづ(く)してるんだ、十月になったらモンスーンの時節ぢやないか、何故早く廣東攻略を敢行しないのかと、地団太ふむ気持で、珠江の泥の流れる海面をいくど睨んだか知れない。そして愈々(いよいよ)待ちくたびれた廣東の攻略戦が切って落とされ、多数の船団が隠密に南下して疾風迅雷、バイアス灣上陸から僅かに十日、十月の二十一日には戦車隊が砂塵を巻いて廣東に突入したといふ飛行機の偵察報告を聞いたときは誰しも呆然としてしまった。その時の日本軍の決河の如き勢は、ある陸軍の部隊長が廣東の街頭で獨逸の青年から感想を求められたとき、言下に「戦闘なし、前進あるのみ!」と云ったといふこの短い氣魄的な言葉のうちに云ひつくされてゐると思ふ。この攻略戦に於ける航空隊の活躍は實に目ざましいものがあった。あらゆる機関はことごとく準備を整へられ、火蓋が切られると同時に、實に正確に、實に緊密に動き出した。飛行機は各編隊で櫛の歯をひくやうに一隊が歸る、報告する、その間に外の隊はもう紅塵の中をかいくぐって雲間を悠然と滑ってゐた。その夜はなにか煮え立つやうな思ひで祝盃をあげた。續いて二十三日には漢口突入。その情報がはいったのが夜だったが、日頃落着いた副長もその時ばかりはわざ(く)私のすぐ前のS中佐のところへ來られて、君、陥落したぞ、漢口が、漢口が! といふ聲が聞える。私もすぐさま部屋を飛び出して方々にふれ歩いた。
 その翌日だったが、特務士官准士官室の黒板には、誰れかしらん「我れ遂に感激の車輪を白雲飛行場に觸る!」と書いてゐる。
 白雲飛行場といふのは、廣東郊外にあつまってまだ一度も見たこともない。しかし何遍となく飛行機乗りの爆撃報告を聞いているうちに云ったことがあるやうな錯覚を持った所だ。敵が退散するとき方々荒し廻ったり爆弾穴があったりするので、それこそ、本當に車輪を地面に觸れた程度だったらしい。その後、ここの看板は私が書いたのであるが、今でも掛けてあるだらうか。太い筆がなくて、細い筆を根元まで墨に沈めて一氣に書いたのも生々しい記憶となってゐる。その時、私は基地先發員として十人餘りの隊員と一緒に進出したのであった。廣東は陥落した直後で、何處にどう殘敵がひそんでるかもわからぬ危険さ。だがそんな少人数で、急場の連絡をとるべき友軍とは遠く離れてゐたにも拘らず、も早や逞(たくま)しく成長してゐた我々は極めて朗らかだった。殊(こと)に沼のなかにじっとかがみ込んでゐたやうな今迄の生活から解き放たれてパッと眼先の明くなったやうな感じだった。まだ凄く暑かったが、萱や薄の穂が銀いろに光ってる一方、十月も末といふのに畑一面まっ黄色く燃えてゐる菜の花が妙にちぐはくなうれしさを與へた。(略)
 ここの生活は僅かな日にちだったが、私にとっては到底忘れ難いものである。私はここで得た感慨を詩に書いたのが二十篇ぐらゐもあるだらうか。

しゅこう);香港とマカオの間を通って南シナ海に注いでいる。河口の三角江は海のように広く、デルタ河口の東の香港から西のマカオまでは高速船で約1時間かかる。
決河の如き勢(けっかのごときいきおい);河川の水があふれ堤防を切るような猛烈な勢い。勢いのはなはだ強いことのたとえ。
紅塵(こうじん);赤茶けて見える土ぼこり。
白雲飛行場(はくうんひこうじょう);現在は広東省広州市に位置する国際空港。中国3大空港の1つ

       ×
 精魂をつくして戦線に戦ってゐる者の持つ「敵」といふ観念のなかには「支那人」といふ言葉がない。といふと甚だ奇異に聞こえるかも知れぬが、これはわれ(く)日本人の考へてゐる外國人なる範疇(はんちゅう)のうちに支那人がはいってゐないのと相通ずるもので、それ程根元的な繋がりが日支兩國民の間にあるのだと私は思ふ。之を単純に「同文同種」などといふ陳腐な、皮相的なものに解せられてはならない。固より抵抗する支那人は何處までもたたきつける。對陣する當の相手に對しては沸き立つやうな憤怒(ふんど)を感ずる。その相手こそお前の敵ぢゃないかと云はれると、言下にさうだと答へるが、その敵こそ支那人ぢゃないかと云はれると、うむ、そりゃそうだが、と答へることは答へるものゝ何か割り切れぬものが残る。この割り切れぬ感情こそ根元的なものゝ抗議ではなかろうか。かの支那良民は敵ではないといふのは、この根元的なものゝ通俗的表現であると思ふ。全く日支兩國民はその好むと好まざるに拘らず、どうしても結びつかねばならぬといふ運命を持ってゐるのだ。それを戦ってゐるといふ事は全く不幸なことである。この戦ひで日本も支那も互ひに相手から實に多くの事を發見し、實に多くの事を認識した。之は仲々得難い不幸中の幸福といふべきであらう。しかもこゝに日本といひ、支那といっても従来のやうに少数の有識層だけでなく、實に多数の一般庶民層であるといふところに一層意義がある。確かに今度の事變は日清戦争時代の相手に對する發見や認識とその方向なり、色合ひなり、内容なりが遙かに異ってゐることを注意しなければならない。
 私はこの戦争を兩國民にとって不幸だといったが、かゝる發見と認識は今後かへって雨降って地固るの素因をなすに違ひない。要はそれ等の持って行き方であらう。
観念(かんねん):あるものについていだく意識内容
奇異(きい):普通と特に様子が変わっていること。
範疇(はんちゅう):同一性質のものが属すべき部類。分類・認識などを支える、根本的な枠組。カテゴリー。
根元的(こんげんてき):物事の一番もとになっているもの。おおもと。根本。
「同文同種(どうぶんーどうしゅ):使用する文字が同一で、人種も同類であること。主として中国と日本の間についていう。
陳腐(ちんぷ):ありふれていて、古くさくつまらないこと。
皮相的(ひそうてき): @ 物事の表面。うわべ。うわっつら。 A うわべだけにとらわれて,判断する・こと
憤怒(ふんど):怒りが爆発する事である
言下(げんか):言葉の終わるか終わらないかに、すぐ。言いおわった直後。
抗議(こうぎ):相手の発言・決定・行為などを不当として、反対の意見・要求を主張すること。
通俗的():1 世間一般の人々にわかりやすく親しみやすいこと。一般向きであること。また、そのさま。2 世間なみ。世間一般。3 世間の一般的風習。一般の風俗。世俗。
事變():
       ×

 今から十六七年前、といふとまだ若々しい理想を抱いてゐた頃だが、その時南阿のケープタウンで見た白い文字、あらゆるベンチ、あらゆるバス、果ては便所の末までも書かれたーONLY EUROREANーといふ文字は生涯、私たちの瞼からは到底消し難いであらう。かうした観念はもう既に欧米の文化民になくなってゐるなどゝ思ったら大間違ひである。天下の大道にはさすが心得たもので、文字こそ華々しく書いてないが、さうさう簡単に抜けるものではない。この抜き難き観念を次第に薄めて來、将來にわたって根こそぎ引抜いてゆく役割は實に日本の肩にかゝてゐる。もはや欧米尊崇、欧米追随の時機でもあるまい。が日本の隅々にはまだ(く)この鹿鳴館時代の観念的繋がりがある。固より明治以降の日本の文化を培ひ、成長せしめて來たものは西洋ではあるが、同時に日本を歪ましめ失心せしめたものも西洋であることを忘れてはならない。日本は今それに氣付いて、一面「西洋」を乗り超えんとする気魄と努力が澎湃として起りつゝあることは喜ばしい限りだ。この事變もある點から観れば實にこの「西洋」を乗り越えんとする「東洋」の飛躍の相ではないだらうか。
澎湃(ほうはい):水がみなぎって逆巻くさま。転じて、盛んな勢いで盛り上がるさま
 
       ×
 日本はこの二年有餘の間に未だ甞ってない様々の苦難を突破しつゝ毅然として所信に向かって邁進してゐる。しかも驚く程遑(いとまし)く成長してゐる。昨年前線に於て張鼓峯の事件を耳にしたとき、本當のところ、一體これはどうなる事だらうと心を痛めて無電情報の來るのがもどかしい位だった。だが今はあれ以上の侵入軍を自信を以てあしらっている。現在戦線にある将士等も餘裕をもった氣持でゐるといふ便りを私は受取ってゐる。
 今や日本の一挙手一投足は世界注視の的となってゐる。かくて日本の世界的地位は東亜に指標を與へつゝ益々大きく高まってゆくだらうが、それと同時に今後一段と大きい様々の障害が前途に待ち伏せてゐる事を覚悟せねばならない。いま、欧州には第二次大戦が起こらんとし世界の情勢は益々複雑多岐となって來た。固より日本の眼前の問題は亊變處理にあることは言を俟たないが、今後の來るべきより大いなる艱難に對しても、私たちは之を克服するだけの氣魄と力を今から用意して行かねばならないと思ふ。かかる際この小集を江湖に贈ることは(その江湖の一分子してこの私自身に對しても)決して意義のないことではないと信ずる。ただ私の非才と、云ふに足らざる前線生活とは到底、永い年月、幾十度となく生死の巷をくぐり抜けた前線将士の気魄と生活の相の百分の一も表現し得なかった事を愧(は)ぢる次第である。
毅然(きぜん);自分の信念を貫くしっかりした態度で臨む様子。
張鼓峯の事件(ちょうこほうのじけん);
艱難(かんなん);困難にあって苦しみなやむこと。つらいこと。なんぎ。
江湖(こうこ);1 川と湖。特に、中国の揚子江と洞庭湖。2 世の中。世間。一般社会。「広く江湖の喝采を博す
巷(ちまた):1 道の分かれる所。分かれ道。岐路。 2 物事の分かれ目。「生死の―をさまよう」
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 最後にこの小集上梓にあたっては、装幀及び題字を川端龍子氏にお願ひし、貴重な寫眞を衣笠貞之助氏、小石清氏(處理はことごとく小石氏、なほ題名やその他の構成はことごとく私のやったものである。)に借していたゞき、また佐藤春夫氏、長谷川伸氏その外の方々に一方ならぬ御世話をうけた。深く感謝する次第である。

             昭和十四年秋   廣東攻略戦を偲びつゝ  西村皎三
              
病舎にはクレオンの畫が貼ってある     「詩集 遺書」 P32〜33より

              
子供達の作品をおくって呉れたある小學教師に――

夕ぐれ 盲貫炸裂創の片脚は蒼然と斷っておとされた。
夜が音もなく湧きあがって來た、ほの白くその脚だけを殘して。
たったひとりでうすら寒く思案にくれてゐる脚よ。
しばらく思ひをとざして歩いてゆけ。歩いてゆけ。
お前の行く手には
五月の吹きながしが豪快に廣重
(ひろしげ)の空を蹴ってゐる。
そのクレオンの村里を過ぎると
お前のよく遊んだ鎮守社
(やしろ)の鈴縄がひっそりと風に吹かれてゐる。


   盲貫炸裂創の片脚
    盲管銃創(もうかんじゅうそう) 打ちこまれた弾丸が身体を貫かず体内にとどまる負傷。  ←→ 貫通銃創
 「詩集 遺書」を、買って三十年になろうか、下から三段目の右側の本箱に置いてある。たまに取り出して数行を読むだけで、何故か背筋がピンとしてくる。詩集の扉には「謹みてこの小集を戦没せる英霊に捧ぐ」と記されている。ご本人も、サイパン島で尊い命をなくされた。
 私は、こうした稿を起こすときには、必ずご遺族様へのご連絡をしているが、西村皎三に関して云えば、全くのご連絡が取れないでいる。「遺書」の文章から察するに、「多摩御陵」のお近くではないかと考えているが、定かでない。
 だが、本気になって探して見ようと云う気持ちにもなれにでいる。私は彼の霊なる力の前にタジタジになっているのだ。

少年倶楽部のなかの「のらくろ」さん
掛川俊夫と「世界一周大飛行の歌」
津久井郷土資料室の早期再開を求める陳情書を相模原市議会議長に提出する。
            2016・2・10付で提出しましたが、当初の予定通り、取り壊されました。
加藤武雄の年譜
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