武相卯歳観音霊場めぐり

御開扉の期間 平成23年4月1日〜4月30日
御参拝の時間 午前9時〜午後5時 
第1番札所観音寺・情報サイト 武相卯歳観音御開扉
撮影 2011・3・1 金剛山普門寺にて
相模原市緑区中沢地区のみなさん
2011・8・15 観音経の部分を移送

平成23年3月1日、外は小雪の降るなかで、吊るし雛作りが行われました。第22回「武相卯歳観音霊場」開扉にあわせ、御本尊の聖観音さまの前に飾るお雛さまづくりです。12年に1度の御開帳(宝暦9(1759)年の開創)と云う事で地域の女性たちが集まり、楽しそうに、そして何よりも賑やかな雰囲気の中で行われました。お雛様の種類は赤ちゃんを形どった猿子、うさぎ、お手玉、イチゴ、柿、くすり、花など11種類が作られました。
 取材をした普門寺は武相四十八卯歳観音霊場、第二十五番の札所で、すぐ近くには第三十八の札所、慈眼寺があります。境内からの西方の景色は石老山を中心として、その山並みは観音様が寝ているようにも見えることから、別名寝観音山と呼ばれています。
 4月1日から1ヶ月間、観音霊場巡りが始まります。観音経の中には「念彼観音力(ねんぴーかんのんりき)、念彼観音力(ねんぴーかんのんりき)」と13回も登場するように、心から念ずることによって観音様は、私達の願を叶えて下さると云います。
 12年に一度の卯歳観音霊場めぐり、観音様の五色の布にふれながら、美しい武相の山河と向き合い巡礼の旅をしませんか。

    

   
綿をつめ三角の薬包みを作っているところ。          出来たお雛さまを吊るすための糸とおし

金剛山普門寺入口 普門品(ふもんぼん)供養塔    
    
南側 西側 東側  北側
寛政十一巳未 天 國土 壱萬巻 天下 
南無阿彌陀仏 大勢至菩薩 普門品 観世音菩薩
三月吉祥日  造立 安全 供養塔 泰平
                               撮影2010・4・2
 
普門寺境内から見た(別称)寝観音山                    普門寺観音堂

板碑 町田市小野路町 千手院

   阿弥陀如来(hrih キリーク)
 勢至菩薩  観音菩薩
 (sah サク)    (sa サ)
     文安六年二月
    正光 逆修 時正 善根 禅尼

庶民の観音信仰
 普門品供養塔は、お寺の入口と云っても寺から1キロくらい離れた三叉路にあります。正面東側に「普門品供養塔」と記されています。阿弥陀様が東を向いているように石組されています。参詣者は東の方向から、ちょうど遠く観音様の寝姿を見ているような感覚で西の山々を拝み手を合わせます。今は周囲に家が立ち並びその感覚を体験することはできませんが、夕日は美しく茜色に輝きます。
 普門品とは、観世音菩薩普門品のことで、妙法蓮華経の中の25番目に登場するお経です。品は、ほんと読み第何章と云うように訳されています。また、この章のことを一般的に「観音経」と呼んでいます。
 観音信仰には左のように阿弥陀三尊の中での観音さま、密教の世界では胎蔵界曼荼羅の左側中央部に描かれた観音院での世界、そして現世利益的な観音信仰とに分類されています。
 多くの観音霊場めぐりで気がつくことは、観音様が子育ての観音様であったり、また安産の観音さまであったりしていることです。観音様に捧げる吊るし雛は沢山の折鶴で飾られているところもあります。吊るし雛は、子供の成長を願い、また不幸にして亡くなってしまった子供の供養にと、赤ちゃんの姿とともに、甘い物がなかった頃の柿や風船やお手玉の形をしたおもちゃ、そして病気が早く治るようにと願いを込めた三角の形をした薬包など、子を思う様々な品々で飾られます。
 昔は乳幼児の死亡率は高く、その遺体を山に葬ったところさえあると云います。こうした中で、当時の女性たちの中には観音仏や地蔵尊を奉納し、その側面や裏面に「女人
(念仏)講」などと記し、ご供養や救いを求めた人達がいました。また、亡くなった妊産婦を、供養するために川に経文を書いた布を張り、勺でその布に誰からともなく水を掛けてもらう「流れ潅頂(かんじょう)」と云うような風習等もありました。
 こうした信仰は、最後のよりどころとする観音信仰にも結びつき、各地に観音堂が建立され、様々な観音霊場めぐりも行われるようになりました。 
         武相卯歳観音霊場四十八ヶ所
札順 観音霊場名 御詠歌 札所御本尊
        観音霊場の住所 宗派
第1番
鶴間山 観音寺 (かんのんじ) 

ふだらくや はじめつるまの かんのんじ ほけきょううたに うたうじゅんれい
十一面観世音菩薩
〒242-0001 神奈川県大和市下鶴間2240   TEL:046-274-2451 高野山真言宗
第2番
陽向山 随流院 (ずいりゅういん) 
2011・4・19 読売新聞夕刊より
「原発20キロ圏家畜置き去り
多くは餓死か牛3000頭、豚3万匹、鶏60万羽」と新聞の見出しにあった。個人の畜産家から「せめて安楽死させてやってくれないか」といった要望がよせられている。牛が泣いている。どうしょうもなく悲しい・・・

ながつたに ぐぜいのふねや つけつらん ずいりゅういんに のりのかんのん
聖観世音菩薩
〒226-0027 神奈川県横浜市緑区長津田5-4-30  TEL:045-983-5720 曹洞宗 
第3番
大峰山 松岳院 (しょうがくいん) 
 
ごんぎょうの かねかんぜおん ならどうで どくじゅもうたも おなじきょうおう
聖観世音菩薩
〒227-0038 神奈川県横浜市青葉区奈良2-4-6   TEL:045-961-4914 曹洞宗 
第4番
三枝山 観性寺 (かんしょうじ) 

まつかぜの ひびきがなるせ かんぜおん たえにきこゆる たにがわのおと 
如意輪観世音菩薩
〒194-0044 東京都町田市成瀬2741-9   TEL:042-726-7503 曹洞宗 
第5番
鶏足山 養運寺 (よううんじ)
じゅんれいを まちしまちだに やどかりて おいずるぬいて ねんぴかんのん
聖観世音菩薩
〒194-0032 東京都町田市本町田3654   TEL:042-722-4545 浄土宗 
第6番
岩子山 千手院 (せんじゅいん)  
せいがんも たかきいわごの かんぜおん りゃっこうふしぎの けんぶつときく 千手観世音菩薩
〒195-0094 東京都町田市小野路町2057   TEL:042-735-2151 真言宗豊山派
第7番
慈眼山 観音寺 (かんのんじ) 
 
しんにょかい かすみがせきの かんぜおん じげんさんじて すくいもらさず 
聖観世音菩薩 
〒206-0011 東京都多摩市関戸5-31-11   TEL:042-375-7432 真言宗豊山派 
第8番
清谷山 真照寺 (しんしょうじ) 
きよらなる みずにだいひの かげすみて ものつみとがお あらうおちかわ   千手観世音菩薩
〒191-0034 東京都日野市落川1113   TEL:042-591-1687 真言宗智山派 
第9番
枡井山 松連寺百草観音堂(しょうれんじ)

ひゃくそうを くすりとなさば さしもぐさ しめじがわらを まもるかんのん
聖観世音菩薩
〒191-0033 東京都日野市百草909 (松連寺は廃寺) 黄檗宗 
第10番
塩釜山 清鏡寺 (せいきょうじ)
よもすがら まよえるこころ おてひきて きよきかがみを てらすおおつか 千手観世音菩薩
〒192-0352 東京都八王子市大塚378   TEL:042-676-8801 曹洞宗 
第11番
補陀山 大泉寺 (だいせんじ) 
 わきいずる めぐみもふかき いづみでら このふだらくに いるぞたのしき
聖観世音菩薩
〒194-0212 東京都町田市下小山田町332   TEL:042-797-9199 曹洞宗 
第12番
龍澤山 保井寺 (ほうせいじ)

てらさわの たごとのつきの あきらけく だいひのひかり あまねかるらん
如意輪観世音菩薩
〒192-0355 東京都八王子市堀之内547   TEL:042-676-9416 曹洞宗
第13番
吹王山 玉泉寺 (ぎょくせんじ)
よいごしの ちうかいかさ ひとふしに かんぜおんどの とるむしのこえ  観世音菩薩
〒192-0361 東京都八王子市越野726   TEL:042-676-8050 真言宗智山派
第14番
高雲山 永泉寺 (えいせんじ)

つみとがを ながしやりみず かんぜおん ごうがのうおも すくうぶったい
観世音菩薩
〒192-0375 東京都八王子市鑓水80   TEL:042-676-8104 曹洞宗
第15番
安榮山 福傳寺 (ふくでんじ) 
 
   弘法大師石像
どうぞ、お姿を
 
八王子の市街は昭和20年8月2日の空襲で一面の焼け野原となった。ここ福伝寺も全焼した。幸い十一面観音は無事だったっが、明治の廃仏毀釈で既に両腕は抜かれ頭上の小さな仏様も取り壊され穴だけとなってしまった。痛々しいお姿に、愚かな人間たちよと言っているようにも、しかしそのことをも受けとめて穏やかな光のようなものを放っていた。もう、五色の布も糸も何もいらないと思った。合掌
 かいにんの にょにんをまもる かんぜおん こやすむらとぞ きくもたのもし
十一面観世音菩薩
〒192-0046 東京都八王子市明神町4-10-6   TEL:042-642-4262 真言宗智山派 
第16番
慈高山 金剛院 (こんごういん)
ぜんあくを いつくしみある うえのはら しゅうこんごういん とくとかんのん  十一面観世音菩薩
〒192-0902 東京都八王子市上野町39-1   TEL:042-622-9540 高野山真言宗 
第17番
中和山 泉竜寺 (せんりゅうじ)
もとめきて このよのじひの あつまれる ぐぜいのほとけ このせんりゅうじ 聖観世音菩薩
〒252−0318 神奈川県相模原市南区上鶴間本町8−54−21   TEL:042-742-3495 曹洞宗
第18番
龍雲山 高乗寺 (こうじょうじ) 
ありがたや ぐぜいのふかき ほだらくは のりのはなさく はつざわのてら 三十三観世音菩薩
〒193-0845 東京都八王子市初沢町1425   TEL:042-661-6852 曹洞宗
第19番
大龍山 福昌寺 (ふくしょうじ) 
しずかなる わがみなもとの ふくしょうじ うかぶこころの のりのはやふね 十一面観世音菩薩
〒227-0065 神奈川県横浜市青葉区恩田町1021-1   TEL:045-981-9232 曹洞宗
第20番
北岸山 喜福寺 (きふくじ) 
いついるや くもまのつきも ありあけの かねのひびきの みてらなるらん 聖観世音菩薩
〒192-0042 東京都八王子市中野山2-11-11   TEL:042-622-6712 真言宗
第21番
祥雲山 長安寺 (ちょうあんじ) 
しんちむら かんぜおんこそ むじんにの そうめうじとて ぶっしょこうぶつ  正観世音菩薩
〒193-0831 東京都八王子市並木町7-1   TEL:042-661-6975 曹洞宗
第22番
常光山 真覚寺 (しんかくじ)

わがいけに つみもけがれも すすぎおけ だいひのじひに もれなもろびと 
聖観世音菩薩
〒193-0832 東京都八王子市散田町5-36-10   TEL:042-661-5921 真言宗智山派 
第23番
聚林山 興福寺 (こうふくじ)
こうふくじ このかんのんの みのりにて くぬぎださとに じざいてんじん 聖観世音菩薩
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町754   TEL:042-661-6145 曹洞宗
第24番
祐照庵大戸観音堂 (ゆうしょうあん)
八木重吉兄弟が奉納した火鉢が発見
 
開扉の最終日、境内にある講中小屋から八木重吉さんと純一郎さんが卯歳にあたる昭和2年3月に奉納した火鉢が発見されました。火鉢には「奉納 正観世音菩薩」と刻まれてありました。同年重吉は結核という不治の病におかされながら10月26日、昇天されました
さんけいの よるひるたえぬ かんぜおん どうのおおとの とずるまもなし
 
観世音菩薩
(石造)
〒194-0211 東京都町田市相原町4643 臨済宗南禅寺派
第25番
金剛山 普門寺 (ふもんじ)
みねつづき たにのなかざわ かんぜおん ふもんじほんに 二十五ばんめ 聖観世音菩薩
252-0117  神奈川県相模原市緑区中沢200 (旧城山町)  TEL:042-782-2100 真言宗智山派 
第26番
大龍山 長徳寺 (ちょうとくじ)

せうみやうの うたいかたるに かんぜおん ふじかわのせも ひびくおほしま
如意輪観世音菩薩
(石造 )
252−0135  神奈川県相模原市緑区大島756   TEL:042-761-9594 曹洞宗
第27番
瑞石山 清水寺 (せいすいじ)
せけんくを すくわんために かんぜおん あんらくここに わたるはしもと 正観世音菩薩
〒192-0211 東京都町田市相原町701   TEL:042-772-0750 臨済宗妙心寺派
第28番 施弥山 福生寺 (ふくしょうじ) かみおやま ほとけのみちの かんぜおん にせをまもりの れいぶつもあり 十一面観世音菩薩
〒194-0212 東京都町田市小山町2524   TEL:042-797-7034 真言宗智山派 
第29番
施弥山 福生寺 (ふくしょうじ) 
2011・3・11に発生した東日本大地震で倒壊した石燈篭
総高115p
 江戸時代
町田市仏教工芸調査報告書(概報)W 
−石造品扁(一)−より複写
だいじひの ひなたおやまの かんぜおん なつならなくに のりのせみざん 
正観世音菩薩
(都重宝)
〒194-0212 東京都町田市小山町2524   TEL:042-797-7034 真言宗智山派 
第30番
白瀧山 高巖寺 (こうげんじ)
かんぜおん いのるしるしは ありあけの うきよのやみを てらすかみみぞ 正観世音菩薩
252−0243 神奈川県相模原市中央区上溝6-18-4 (元町自治会館)
第31番
観心寺 (かんしんじ) 
みぞしょうに あたりてうたの みよぞかし くものたいまの かんぜおんどう 正観世音菩薩
252−0336 神奈川県相模原市南区当麻774 時宗 
第32番
清水寺 (せいすいじ)

しもみぞの ながれやすみて せいすいじ むくしょじょに へるかんぜおん
十一面観世音菩薩
252−0335  神奈川県相模原市南区下溝1457   TEL:042-778-0644 曹洞宗
第33番
吉祥山 覺圓坊 (かくえんぼう)
おいづりを きてくわんおんに あのくたら ここぞ三十三 ぼだいしん 正観世音菩薩
〒194-0033 東京都町田市木曽町1502 天台寺門宗
第34番
泉蔵寺 (せんぞうじ
もろともに なむかんぜおん となうれば ぢひおおさわに ちかいまします 十一面観世音菩薩
〒194-0202 東京都町田市下小山田町1391   TEL:042-797-1848 曹洞宗 
第35番
観音堂 (かんのんどう) 
 
ゆぎみれば ちかいもふかし ぢひのまつ みどりこのなん すくうかんのん
準提観世音菩薩
〒192-0373 東京都八王子市上柚木402-2
第36番
富亀山 養樹院 (ようじゅいん) 
    
たいらかに みちびきたもう かんぜおん りゅぐうよりも たすけでたもう 
準提観世音菩薩
〒194-0201 東京都町田市上小山田町2536   TEL:042-797-3067 曹洞宗 
第37番
瀧澤山 祥雲寺 (しょううんじ)

たかきさか のぼりておがむ みがわりの むかしのひかり いまにかがやく
聖観世音菩薩
〒194-0014 東京都町田市高ヶ坂1290   TEL:042-728-5641 曹洞宗
第38番
慈眼寺 (じげんじ) 
みわたせば たからのみねも かわざかい だいひのやまに あさひかがやく 正観世音菩薩
252−0116 神奈川県相模原市緑区城山4-367  (旧城山町) 真言宗智山派 
第39番
金森山 宗保院 (しゅうほいん)

すくはれて うれしきせんじゅ くわんぜおん ひびにとなへん なむだいじひを
千手観世音菩薩
〒194-0013 東京都町田市原町田1-8-13   TEL:042-722-3133 曹洞宗
第40番
飯盛山 永昌院 (えいしょういん) 
つづらおる あゆみもかろし なかやまの ぐぜのえにし たよるこのみは 十一面観世音菩薩
〒192-0374 東京都八王子市中山452-2   TEL:042ー676-8693 曹洞宗
第41番
金峰山 永林寺 (えいりんじ)

みほとけの ふかきめぐみの のりのみち こがねがみねに ひびくかねのね
聖観世音菩薩
〒192-0372 東京都八王子市下柚木4   TEL:042ー676-8410 曹洞宗
第42番
白華山 慈眼寺 (じげんじ)

はくかざん はすいけきよし じげんじの やくよけかんのん さったのひかり
十一面観世音菩薩
〒192-0914 東京都八王子市片倉町944   TEL:042ー636-6930 曹洞宗
第43番
金龍山 信松院 (しんしょういん)
みほとけの ちかいはたかき きんりゅうざん まつのひびきも みのりなるらん 聖観世音菩薩
〒193-0931 東京都八王子市台町3-18-28   TEL:042ー622-6978 曹洞宗
第44番
大沢山 宗印寺 (そういんじ)
ひらやまに なだかきぶしの みまもりよ おてのだいひに たのみがいあり 聖観世音菩薩
〒191-0043 東京都日野市平山6-15-11   TEL:042-592-6699 曹洞宗
第45番
金光山 観泉寺 (かんせんじ)
つるかわの しんこうのさと かんせんじ わがこえたかく なむかんぜおん 聖観世音菩薩
〒195-0051 東京都町田市真光寺町1210   TEL:042-735-1575 曹洞宗
第46番
一乗山 吉祥院 (きちじょういん)
ありがたや かんのんふしぎの みょうちりき ふくじゅむりょうの ちかいとうとし 聖観世音菩薩
〒193-0824 東京都八王子市長房町58-3   TEL:042-661-5448 真言宗智山派 
第47番
境国山 定方寺 (じょうほうじ)

ふだらくや さかいのくにの かんぜおん みのりをうたに うとうきみがよ
正観世音菩薩
〒242-0001 神奈川県大和市下鶴間145   TEL:046-274-0421 曹洞宗
第48番
淵源山 龍像寺 (りゅうぞうじ)
あふぎみる ふちのべのさとの りゅうでらの みめぐみふかき じひかんぜおん 聖観世音菩薩
252−0203 神奈川県相模原市中央区東淵野辺3-25-1 TEL:042-752-2366 曹洞宗
 札所のことにつきまして事実と異なっている場合がございましたら、誠に申し訳ございませんがご容赦のほどお願いいたします。

平成23年卯歳観音霊場・巡礼のメモ
寺  名 巡 礼 日  メ モ
普門寺 4月2日 いつも、大変お世話になっているところです。
慈眼寺 樹木が豊富、力石があった。
大戸観音堂 ↓ 4月3日 観音堂は長安寺の太子堂を移築。道内に吊るし雛、折鶴が沢山奉納されていた。ご本尊は石仏。
相原の清水寺 今も、ヒキガエルが帰って来るか気になっている。いつ見ても大きな観音堂だ。
福生寺 地震で珍しい灯籠が倒れ残念に思う。ご詠歌の皆さんが観音さまをお守りしている。
長徳寺 ピカピカな本堂の床を通って、ご本尊さまをお参りする。羅漢さまが木に乗っている光景は不思議。
養樹院 4月5日 境内の石仏が素晴らしい。岩船地蔵さんの船に別の仏さんが安置。野鳥の国
大泉寺 広い境内、入口の南無阿弥陀仏の石碑が気になった。
泉蔵寺 奥は広い霊園か、本堂は鍵がかかって閉まっていた。お問い合わせ先もあったが止そうと思う。
千手院 御詠歌を聞かせて頂いた。本堂内の花の板碑も良かったが外の光明真言の刻まれた板碑もなかなかと思う。
観泉寺 本堂の欄間にお釈迦様の一代記が刻まれていた。
養運寺 観音堂からの眺めがよかった。ムクロジの大木がいい。
覚円坊 大きなご本尊さまだった。珍しい結び方をしたお札が立てかけてある。
龍像寺 伝説の龍像寺、入口に徳本上人の念仏塔、トイレが茶室のようでもあり素晴らしい。
観心寺 相模川から流れ寄せた小さな小さな正観音さまと、その後ろにもう一体がある。
元町自治会館・高厳寺 地元の皆様の熱意が伝わって来た。ここにも徳本上人の念仏塔があった。
観性寺  ↓ 4月10日 地元のみなさんで盛りたてているご様子が窺えた。前の観音堂の写真もよかった。
松岳院 宅地造成で環境が変わったよう、寺門へ急な階段。
福昌寺 境内の花々にも手入れがゆきとどき綺麗だった。本堂の壁に二十五菩薩が歌っている。
随流院 境内は保育園、畜霊塔があった。本堂にいつまでも座っていたいような気分になった。
祥雲寺 寺門に仁王さまの大きな草鞋が奉納されていた。お煮〆を頂いた。
宗保院 町田の駅前。水鉢にお天狗さんがいた。
定方寺 高台の寺、桜が満開だった。細長く造った鐘楼、「あれっ」と思いながら後で「なるほど」と思う。
泉龍寺 何回も道に迷いながらやっとで辿り着いた。一尺六寸の観音様、「建立由来記の石碑」には正観音と刻まれていた。
観音寺 眼下に境川が流れていた。隣りに小さなお厨子と大きな地蔵様が安置されていた。
下溝の清水寺 只今造成中、分りにくかった。鳩川と道保川の合流点の高台にあった。眺めがよかった。
福伝寺 4月11日 八王子市街にあった。子安観音とはここのことかと思う。あまりの痛々しさに何かが見える。
永泉寺 4月17日 句碑が多く建立されていた。芭蕉堂もあった。
上柚木観音堂 双盤念仏が行われていた形跡がありそう。奉納された提灯に、赤い「さるぼぼ」が印象的だった。
永昌院 新しい本堂と前からの観音堂、瓦葺がどこか懐かしく思えた。十一面観音さまは東側を向いている。
永林寺 広い境内の中に享保4年の岩船地蔵尊が祀られていた。大石一族の館跡という。
玉泉寺 越野会館の中に裳かけの観音さまが安置。そのことを、地域の皆さんから教わった。
保井寺 無縁仏さんの中に貴重な板碑があった。寺門の両側に五色椿の花が咲いていた。普門品供養塔もあった。
清鏡寺 観音堂内の大きな金庫が気になる。新しい灯籠がいくつも倒れ痛々しく思う。
観音寺 石造の三重塔がいい。「當所女念仏講中」真新しい覆屋に六観音さまが安置されていた。雲型模様をした光背が印象に残る。
真照寺 ご本尊さまは十一面観世音、新編武蔵風土記稿では聖観音と伝える。堂前の石碑に「寛政六寅八月吉日 子安観音 武州八番」
百草観音堂 大きなスダシイが南側の崖に3本あった。十一面観音さまが厨子の左側に安置。これは何か。
宗印寺 境内の周りにクマササが多い。大きな牛の置物が天神さまの前にあった、これは何だろう。
慈照寺 片倉駅の東側の直ぐに鬱蒼とした森の中にあった。ずんぐりとした赤色の六地蔵が並んでいた。
高乗寺 4月22日 三十三観音さまの糸が一つになっている。開基の長井氏の墓は何処だろうと思う。
興福寺 境内に、ムラサキケマン、ヤマブキソウ、イワタバコなど、山への道に珍しいシダ植物が何だろうと思う。
真覚寺 境内の池にヒキガエルのオタマジャクシが育っている。青と赤のモミジが池に生えた。芭蕉碑がある。
信松院 松姫さんの墓の隣りに尼さんのお姿をした石仏があった。あれは信松院さまかと思う。
金剛院 大きな本堂の右側にハス池(壺)がいくつもあった。
喜福寺 現代的で、のびのびとした観音さま、カーテンを閉ざせば音楽堂のようにも。書棚に農業書の多さが目立った。
吉祥院 山上にあって、高尾山の遥拝所が。二十三夜堂の隣りにお婆さんの石像が置いてあった。
長安寺 結願の寺となる。どの石仏の前にも優しい花が活けてあった。徳本念仏塔の裏に新田、開戸講中とある


取材を終えて
 世の中に、こんなにも空しくて、気の毒のことがあってもよいのでしょうか。
 観音様の事を書いていて、こんなにも空しくて、何か空々しくて、まとめようにも、まとまらない複雑な思いがしています。
 観音と云う語源は「アヴァローキタ」と「イシューヴァラ」の複合語で「アヴァローキタ」は「見られた」と云う意味から「観」と訳されています。「イシューヴァラ」は「主人」と云う意味を持ち、古くから「自在(者)」と呼ばれていました。唐代の有名な漢訳者玄奘(げんじょう)は「イシューヴァラ」を「自在」と訳したことから「観世音」のことを「観自在」とも呼んで、「般若心経」の冒頭部分でも、「観自在菩薩」と記されています。
 八木重吉の詩に「虫」と云う詩があります。この詩からどうしても秋の虫を連想しがちですが、実際には夏の激しく鳴くセミの光景をよんでいました。重吉は重い結核に侵され病床のベットの中にいたのです。重吉は「おのづ」と云う言葉を「しぜん」と云う言葉に替えました。

          虫がないている
          いま ないてをかなければ
          もうだめだというふうにないている
          しぜんと
          涙がさそわれる

          初案  

          虫がないている
          いま ないてをかなければ
          もう だめだ
          もう ひまがないといふふうにないている
          おのづから
          涙をさそわれる 


 「おのづ」、「自」とは何なのでしょうか。山河にそよぐ風、若葉の中の日の光、自分を見つめ、辿り着いた人生を、そして明日に繋がる人生を、それぞれに考えて見ることも良いでしょう。さあ、十二年に一度の巡礼の旅が始りました。がんばろう日本、がんばるぞ日本

開扉が過ぎて
 今は自分に驚いています。「取材を終えて」のなかで私は「おのづ」と「自然と」の共通性を八木重吉の詩から描いて見ました。巡礼では震災のこと、家族のこと、仲間のことなどを願いながら参拝しました。最終の30日、むしが知らせたのか我が家からほど近いところにある大戸観音堂に行きました。この日、観音堂では上大戸地区の皆さんが集まり、奉納旗を下ろしたり後片付けをしておられました。そうした中で、昔から使用されてきた講中小屋の整理作業も行われていました。茶碗や座布団などなど、その中に一対の火鉢がありました。何だろうと思いながら近寄って見ますと、火鉢には八木重吉と刻まれてありました。これは大発見だと、地区のみなさんと話しました。「昭和二年丁卯三月 日」、「奉納 正観世音菩薩」と刻んでありました。
 八木重吉は敬虔なクリスチャンですがこうした故郷の観音開扉を忘れていませんでした。ほんとうに有り難く思いました。
 巡礼中、各寺々でお接待をお受けしました。震災の心の痛みの中で多くの皆さまと出会うことも出来ました。新緑の小道も歩きました。ありがとうございました。                        (2011・5・1記)

         参考資料
         「第二十二回 武相卯歳観音霊場 開扉」の栞   
         曹洞宗在家勤行聖典 付・梅花流詠讃歌  平成9年2月 修訂10刷 編集 曹洞宗宗務庁
         武相観音めぐり 画 橋本豊治 著書 佐藤 広  発行所 のんぷる舎   1999年11月
         八王子の仏像 郷土資料館資料シリーズ第13集 発行 八王子市教育委員会 昭和48年7月 
         八王子の仏像 郷土資料館資料シリーズ第16集 発行 八王子市教育委員会 昭和50年11月 
         仏像 −心とかたち−  望月信成・佐和隆研・梅原猛  発行 日本放送出版協会 昭和40年4月
         庶民のほとけ 観音・地蔵・不動  頼富本宏 発行 日本放送出版協会 昭和59年10月 
         観音像講話 逸見梅榮 有光社    昭和14年12月 発行
         観音像    逸見梅栄 誠信書房  昭和46年3月 第2刷 発行
         梵字入門  綜芸舎編集部編  発行 綜芸舎 昭和48年3月 第10版
         女人往生 日本史にみる女の救い 小栗純子 人文書院 発行 1987・6
         仏教経典の世界 総解説  自由国民社  発行 1990・9        


         武相卯歳観音御開扉

               「反省サルとボクの夢」のロケ地・金剛山普門寺
               津久井と田名の子育観音
               津久井を走る霊随上人
               城山の徳本上人念仏塔        
               加藤武雄と小山金次さんが見た「下田の地蔵」さまについて
               戻る